少年サッカーでは、子どもとはいえ動きが素早いうえに読めないことが多く、AFの初動性能と被写体への食いつきの度合いがものを言う条件。レンズのAF性能が大きく影響する。と意外にも最初に感じたのが焦点距離の違い。広いグラウンドでは100-500mmの100mm長い焦点距離がものを言う。100-400mmにくらべ一歩踏みこんだ絵が撮れるのである。これは実に大きい。遠くでのプレーはより大きく画面に引き寄せることができるし、ちょっと近くなるとより迫力ある絵が得られやすい。サッカーに限らずおそらく野球やトラック競技などでも同様だろう。なお、100-400mmは「EXTENDER RF1.4×」および「EXTENDER RF2×」の装着が可能なので、より被写体を引き寄せたいときは用意するとよいだろう。

より望遠で撮れる100-500mmだが、その分鏡筒は大きく、白色のため目立つことも忘れてはならない。運動会などでもそうだが、子どものスポーツイベントなどでは白レンズを持っていると注目を集めやすいのである。実際、このレンズで撮っていると「すごいレンズお持ちですね」とか「ご熱心ですね」などと選手の家族などから言われ、少々気恥ずかしかった。サッカーを楽しむ自分の子どもの撮影レベルでは、100-500mmにくらべコンパクトで黒い鏡筒の100-400mmのほうが目立つことが少なく気持ち的にも負荷は少ない(目立ちたい人は100-500mmをどうぞ)。

AFについては、サーボAF(コンテニュアスAF)をフル活用するわけだが、両者ともAF駆動は超音波モーターのUSM(100-400mmはナノUSM)と言うこともあり、合焦スピードは速くしっかりと被写体を捕捉し続ける。しかも狙っていた選手から別の選手に切り換えるときなど合焦までのスピードは感覚的に甲乙付け難いものである。

そしてもっとも気になったのは、鏡筒の構造。100-500mmは防塵防滴構造であるのに対し、100-400mmは対応していない。サッカーに限らずフィールドスポーツやトラック競技など天候にかかわらず開催されることが多い。運動会にしても多少の雨であれば決行する。そんなこと考えると防塵防滴構造のレンズの安心感は極めて高い。実際、サッカーの撮影は3日間試してみたが、そのうち1日は雨天のため100-400mmの扱いには非常に気を使った(作例が掲載できないのは許してください)。

▼RF100-400mm F5.6-8 IS USMで撮影

  • 焦点距離を考えれば軽量コンパクトに仕上がっているので、サッカーをはじめとするスポーツイベントでは活躍するレンズ。ちょっと後ピンとなってしまったのはご愛敬 EOS R5・RF100-400mm F5.6-8 IS USM・絞り優先AE(絞りf8・1/2000秒)・AIサーボAF・ISO3200・WBオート・JPEG・焦点距離373mmで撮影

  • こちらもテレ端400mm、絞り開放F8での撮影だ。合焦した部分の解像感は圧倒的で、被写体が背景から浮かび上がって見えるほど。AF追従性の極めて高いレンズである EOS R5・RF100-400mm F5.6-8 IS USM・絞り優先AE(絞りf8・1/2500秒)・AIサーボAF・ISO800・WBオート・JPEG・焦点距離400mmで撮影

  • 低速で動く船は撮りやすい動きもののひとつ。アングルをじっくり検討したうえでシャッターを切ることができる。強力な手ブレ補正機構とハンドリングしやすいレンズでシャープな絵が得られた EOS R5・RF100-400mm F5.6-8 IS USM・絞り優先AE(絞りf8・1/800秒)・AIサーボAF・ISO200・WBオート・JPEG・焦点距離236mmで撮影

▼RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMで撮影

  • プラス100mmはフィールドスポーツの撮影では心強く感じられるところ。遠くでプレーする子どもも大きく画面に引き寄せることができる。あまり良い写真ではないのはお許しを EOS R5・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・絞り優先AE(絞りf8・1/1600秒)・AIサーボAF・ISO6400・WBオート・JPEG・焦点距離500mmで撮影

  • 100-400mmと比べると大きく重いレンズだが、その分Lレンズとして写りをはじめ安心して使うことができる。さらに防塵防滴構造は雨天ばかりでなく砂の舞うような風の強いフィールドでも心強い EOS R5・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・絞り優先AE(絞りf8・1/1250秒)・AIサーボAF・ISO800・WBオート・JPEG・焦点距離254mmで撮影

  • テレ端500mmでの撮影。背景は明るいもののフレアの発生は見受けられず、クリアな写り。絞り開放からわずかに絞っているものの、周辺減光や画面周辺部の画質の低下なども見受けられず上々の写りが得られた EOS R5・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・絞り優先AE(絞りf8・1/1000秒)・AIサーボAF・ISO200・WBオート・JPEG・焦点距離500mmで撮影

防塵防滴やエクステンダーへの対応など、100-500mmの優位性は確かにある

総合的にレンズによる写りの違いは、今回の撮影に限って言えば大きな差は見受けられなかった。もちろん画像を等倍まで拡大し、しかも厳密に見ると何らかの違いは出てくるかもしれないが、だからと言ってその程度の違いを語ったとしてもいざ使うとなると意味をなさないように思えてしまう。いずれも絞り開放から解像感、コントラストとも不足のない現代的な写りだし、画面周辺部の結像の状態や周辺光量不足も実際の撮影では問題ないレベル。補正が及ばない諸収差なども通常閲覧する拡大率では両者気づくことの極めて少ないもので、前述しているように価格差ほどの写りの違いはないように思える。ということは、写り以外のところ、テレ端焦点距離、操作性、防塵防滴性能、大きさ重さ、エクステンダー装着の可否、そして価格で2本を見極めるしかないのである。

個人的にやはり気になったのは防塵防滴構造の有無とサイズ感、そして価格。本文でも触れているが、スポーツは多少の天候が乱れても行われることは多く、今回撮影には及んでない風景などでも雨天や霧、砂塵の舞うなかで撮影することは少なくない。防塵防滴構造であれば撮影する環境を選ぶことがなく、撮影にも安心して臨めるのである。そして、やはりハンドリングしやすいほうがいつでもどこへでも持っていけるし、それによる絵的なメリットも多い。さらには大袈裟に見えずに済むこともある。ところが防塵防滴構造は100-500mmにしか採用されてないし、小型軽量なのは対抗する100-400mmなのである。どっちが買いか結論を導き出せと言われれば、やはり価格の手頃な100-400mmになってしまうのだが、その結論でI編集氏は納得してくれるのだろうか。

「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」が優れていると感じた部分
・言うまでもなくRF100-500mmにくらべお値段がお安いこと。
・軽さは正義! RF100-500mmにくらべ軽量でコンパクトなこと。
・テレコンが使える!
「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」が優れていると感じた部分
・防塵防滴構造の鏡筒。
・プラス100mm、テレ端の余裕。
・ズームリングの動きが調整可能。
どちらも互角だと感じた部分
・厳密に比較すると違うのかもしれないけど、写り(描写)。
・厳密に比較すると違うのかもしれないけど、AFの速さ。
・厳密に比較すると違うのかもしれないけど、手ブレ補正機構の補正効果。