――今回演じる役にはどんな印象を受けましたか?
彩花は子供も旦那さんもいてすごく幸せだと思うのですが、自分がないがしろにされていることに慣れてしまっている、自分が空気みたいになってる感覚で。でも、そういうものを感じている方は結構いると思うんです。“お母さん”であることが当たり前になって、自分は一生“女性”というものに向き合わなくなるんだろうなっていう感覚。彩花は自己肯定感がそんなに高い人ではないので、「私なんか…」と思ってるところに、「あなたは美しいですよ」と言ってくださる男性が来たら、それは行っちゃいますよね(笑)。「私はまだ女性なんだ」って思い起こさせてくれる方が現れたらそうなってしまう彼女の気持ちも、私はすごく分かります。
――翻って、徳永さんご自身は、夫婦生活を円滑にさせるために、何か意識されていることはあるのですか?
自分の時間を充実させることですかね。夫と結婚して数年経ちますが、「あなたはあなたの人生だし、私は私の人生だからね」という感じでやってきました。2人でいるのは楽しいけど、それぞれ好きなものがあって、私は私で自分の友達やコミュニティを大事に生きているという上で一緒に生活しているので、あんまり“夫のために変わった自分”というのはないんです。
だから、夫に対しても、夫が自分の時間を楽しんでいる姿を見ているほうが幸せなんです。「夫のためにやったのに、自分だけやってる…」って思うとストレスが溜まったりしますが、「夫に対してやることも、私がやりたいからやったんだ」と、全部自分が“主”で考えると何も思わなくなるので、そこが円滑にさせることにつながっているのかなと思います。
――旦那さんに「これやってほしいのに…」と期待しないんですね。
はい、期待したら疲れますよね(笑)。自分でやりたいことはやるし、やりたくないときはやりたくないって言います。向き不向きもあるし、得意不得意もあるので、例えば、夫に「部屋がちょっと汚いね」と言われたら、「そうだね。でもそれはあなたが得意だからやってね」「気づいたんだ、ありがとう。あなたがやる番だね!」って促します(笑)。逆に、私が得意なことをチャッチャカやると、「ああ、やってくれたんだ。ありがとう」と言ってくれるので、「何で私ばっかり…」ってならないんです。夫婦の形はいろいろあると思いますが、1つの形として私たちはこれで成り立ってるから、うまくいってるのかなと思います。
――最初にそういうルールにしましょうと話し合ったわけではなく、自然とそうなっていたのですか?
そうですね。そもそもが夫も自由な人ですし、私もこういう仕事をしているとなかなか時間通りに仕事が終わらなかったりして、自由な感じでやらざるを得ないので。だから、夫も自由でいてくれたほうが、私も楽なんです。
■生放送スタジオの反響に期待
――改めて、今回の作品の見どころをお聞かせください。
私が演じた彩花も、他の話に登場する女性たちも、自分の日常に物足りなさや自信のなさを抱えているときに肯定してくれる人がいて、そのおかげで自分らしさを取り戻せるということがあったりするので、いけないことかもしれないけど、不安だったり、自信がないなと思っている方に、ちょっとでも寄り添える作品になっていれば、うれしいなと思います。
そして、15分ってあっという間だと思うんです。視聴者の方に「あれ、もう終わり?」ってなるくらいのめり込んでもらえる15分であってほしいと思いますし、体感的にそうなると思うんです。それに、『ポップUP!』のスタジオで見てる皆さんもリアクションしてくださるんですよね!? それがすごく楽しみで。そんなにリアルに反響が聞ける機会はないし、それがこのドラマの醍醐味でもある気がするんです。だから、私も純粋にイチ視聴者としてすごく楽しみです。
――徳永さんが朝ドラ『わろてんか』に出演されていたときも、NHKのアナウンサーさんがリアクションしていましたよね。
朝ドラを見てくださっていた方は、徳永えりというより役として見てくださり、私が演じたトキという役が結婚するときに、みんなが祝福してくれるっていう不思議な現象が起きたんです(笑)。それは役者冥利に尽きることだなと思ったので、今回もすごくドキドキして、出来上がりを楽しみにしています。
●徳永えり
1988年生まれ、大阪府出身。04年にドラマ『放課後。』で女優デビューし、06年に映画『放郷物語THROWS OUT MY HOMETOWN』で初主演。その後も、映画『春との旅』『フラガール』『ハナミズキ』、ドラマ『梅ちゃん先生』『心がポキッとね』『わろてんか』『恋のツキ』『推しの王子様』『ハコヅメ ~たたかう!交番女子~』『群青領域』などに出演し、5月20日スタートの『ポップUP!』内ドラマ『昼上がりのオンナたち』で第1話の主人公を演じる。