高橋ひかる「好きなものを好きと言えるのは幸せ」 オタク隠すのをやめて人生豊かに

劇中、高橋はややデフォルメされた田中というキャラクターをコミカルに演じつつ、そのなかに切なさや悲しさなど、しっかりと胸の内をにじませ視聴者の心をつかむ芝居を見せている。

高橋は「コメディでギャグ漫画をどうラブコメに落とし込むかというのは、原作ファンの方も気になっていたと思います。私たちも実際に作品を読んで、どう映像化していくのかというのは、結構悩んでいました」と撮影前に感じていたことを明かすと「撮りながらも『これでいいのかな』と試行錯誤していたので、実際に映像を観たとき、みんなが『おーこれこれ!』と共通した気持ちになれたことがすごく嬉しかったです」と目指していたことが具現化できたことに胸をなでおろしたという。

さらに女優として、けれんみないコミカルな演技を披露したことに「現在公開中の映画『おそ松さん』という映画で本格的なコメディに挑戦させていただいたのですが、そこで英勉監督からただ面白いことをするだけではなく、テンポや言葉のキレなど物語を成立させるための工夫などを勉強させてもらいました。それを受けての本作だったので、監督と『こうした方がいいかも』といろいろ話し合いながらできたことも、とても大きかったです」と映画の経験が活きたことを明かす。

今年20歳を迎えた高橋。映像作品でチャレンジングな役が続いているが、なにか変化はあったのだろうか――。

高橋は「お芝居を始めたころから、演じる役柄というのは、少しずつ変わってきたなという自覚はあります。でも年齢的にというよりは、2018年に放送された『高嶺の花』でコスプレ少女の役をやったのが大きかったなと思っています」と語ると「私にとってはこれまでの作品のなかで、もっとも突飛な役でした。そこからバラエティに挑戦させていただくことも増えて、それをきっかけに『おそ松さん』にもお声がけいただくなど、役の幅が広がっていった気がします」とターニングポイントにあげていた。

オタク的な部分が自分と田中は似ているが、「根本的なところは演じていて違うなと感じました」と高橋。その違いについて「私は趣味やものに対して、好きと言えるタイプなのですが、人への気持ちを素直に伝えることが苦手なんです。田中って心を閉ざしているように見えがちですが、村井の思いに対しては、真摯に向き合って思いを言葉にするんです。私はまだうまくできないのですが……」と語った。

しかしだからこそ、この作品で村井の心に触れ、田中を演じたことで、より一層思いを伝えることの大切さを学ぶことができた。「推しへの思いや愛情はしつこいぐらいできるのですが、しっかりと人に対しても恥ずかしがらずに向き合えるようになりたいです。そうすればさらに人生は豊かになるし、幸せになれると思います」と自身に言い聞かせるように語ると「最強の高橋ひかるになりたいですね」と未来に思いを馳せていた。

• (C)『村井の恋』第6話の場面写真　島順太(KADOKAWA刊)／「村井の恋」製作委員会