スーパー戦隊シリーズ第45作『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021年)と第44作『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)のヒーローが勢ぞろいする「スーパー戦隊VSシリーズ」の最新Vシネクスト『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』が、現在公開されている。

  • 左から小宮璃央、駒木根葵汰 撮影:大門徹

「輝き」をテーマに希望を与えてきた『キラメイジャー』と、ハジけた展開を貫き続けた『ゼンカイジャー』の化学反応がさく裂している本作は、ゲストとして登場しているセンパイジャーもアクセントとなり、スーパー戦隊の楽しさが詰まった作品になっている。

今回は『機界戦隊ゼンカイジャー』で主演を務めたゼンカイザー/五色田介人役の駒木根葵汰と、『魔進戦隊キラメイジャー』のキラメイレッド/熱田充瑠役の小宮璃央に、作品を振り返ってもらった。

――作品とても楽しく拝見しました。特に、二つのスーパー戦隊がすごく相性のよい気がしたのですが、どう思われますか?

駒木根:僕は前回の映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』で一度真面目な世界に連れていかれてしまったので、その時よりも自分らしい色を出せたんじゃないかと思います。『ゼンカイジャー』って独特だから、一緒になったときに破綻してしまわないか心配だったんですよ。それならいっそ、そのめちゃくちゃな世界観で『キラメイジャー』を食ってしまおうと思っていたんです。でも、『ゼンカイジャー』の世界線でありながら、『キラメイジャー』の世界といっても違和感がないくらい溶け込んでいました。『ゼンカイジャー』は展開も敵もぶっ飛んでいたので、一年間を通して自分自身の考え方もバグっているんじゃないかと心配していたんです(笑)。

小宮:“ゼンカイ脳”ってやつですね(笑)。為朝とガオーンをはじめ、キャラクターごとの相性もよく、撮影も楽しかったです。

――エンディングダンスもスペシャルバージョンになっていて驚きました。あれも大変苦労されたのではないですか?

駒木根:あれはいろんな現場で撮影していたんですよ。山口恭平監督の頭の中には完成図があったと思うんですけど、僕たちはまったくどうなるか想像できていなかったんです。現場に着いたらいきなり、「じゃあダンスを撮ろうか」といわれたりして焦りました。

小宮:『キラメイジャー』陣はダンスの得意、不得意が分かれていたので、そこに苦戦していたかもしれません。ダンスをやっている僕や木原瑠生、舞台経験のある水石亜飛夢は体が動くんです。でも、女の子チームの2人(工藤美桜、新條由芽)とキラメイシルバー(庄司浩平)は大変そうでした。よ~く見たら誰かしら間違えてるかも(笑)。そこはぜひ見ていただきたいですね。

――撮影はいつごろ行われていたのでしょうか。

駒木根:撮影は1月半ばくらいです。カラフルのシーンだけは、セットが変更になるため最初に撮っていたんです。残りはそれから1週間くらいおいて始まっていきました。僕はTVシリーズの最終回が終わって、Gロッソをやっている時期に撮っていった感じですね。

――小宮さんは久々に特撮の現場に入って大変だったことはありましたか。

小宮:ほかの現場に比べて朝が格別に早いですよね。『キラメイジャー』が終わった直後は、「戦隊以外の現場って、こんなに朝ゆったりなんだ」と驚いていたんですけれど、今度はそちらに慣れてしまっていて。いざ東映の撮影所に戻ると「早いな~」って、当時の感覚に戻すのに苦労しました。

――『ドンブラザーズ』にも出演される駒木根さんはその苦労がさらにもう一年続くんですね。

駒木根:そうですよ! 映画を撮っていたときは、ちょうど『ドンブラザーズ』の1話を撮影していた時期だったんです。昨年末に『ゼンカイジャー』の最終組撮影を終えて、映画の撮影まで五色田介人から離れた時期があったんです。だから余計に映画で役を戻すのが難しかった。時期があいてしまったので、朝もなかなか元気が出ないんですよ。それがかなりしんどかったですね。「あれ、こんなに元気だったかな」って。『ゼンカイジャー』に比べると、『ドンブラザーズ』はテンションが低いのでやりやすいですね(笑)。

――映画を担当する山口監督は、本編でも印象的なエピソードを担当されています。

小宮:山口監督はキラメイジャーのパイロットを撮ってくださった、一番お世話になっているといっても過言ではない方です。一年ぶりにお会いするので、どれだけ成長できたか見ていただきたかった。作品が終わってからもこうやって交流が続いている監督って、僕は山口監督だけなんです。今回の撮影では、監督から当時よりレベルアップしているといってもらえて、すごくうれしかったですね。

駒木根:『ゼンカイジャー』では自由奔放にやらせていただいたというか、田崎監督、中澤監督とはまた違っていて、こちらにかなり委ねていただく撮影をされる監督なんですよ。なので、自分でアイデアを出して芝居をすることが増え、自分の力を試す機会をたくさんいただきました。レンアイワルドとかを撮ったのは山口監督なので、『ゼンカイジャー』をヤバい方向に向かわせた監督の一人です(笑)。本当にこれでOKなの?って思いながら撮影していましたから。パフェにチューしたりしていて、でもそれも面白いね!といってくれたりするので。

――山口監督はキャラクターのまた別の側面の魅力を引き出すのに長けている印象がありますね。

駒木根:監督に言われてやるのではなく、自分で考えて演じていかなければなりません。その自分で考えていくことの大切さを、山口監督の組ではたくさん教わりました。

――アクション監督は清家利一さんが務めています。迫力のあるアクションも作品の大きな見どころになっています。

駒木根:清家さんも僕も極真空手をやっていて、実は『ゼンカイジャー』より前から面識があったんです。それもあってよくコミュニケーションを取ることができたんですけど、清家さんは普段は舞台が中心なので、映像ではまた違う苦労も多く、「これを毎回やっている福ちゃん(福沢博文)はすごいな~」とこぼしていました。今回は変身する前の動きを「好きにやっていいぞ」と任せてもらって、それは一年間やってきたからこそ信頼していただけたのかなと自信にもなりました。

――小宮さんはいかがですか? 最近は別の番組でも小宮さんのアクティブな姿を拝見することが多い印象なのですが。

小宮:お恥ずかしいです(笑)。

駒木根:えっ、そうなんですか? やられていたんですか?

小宮:あれ? 駒木根さんもやられてましたよね? (『最強スポーツ男子頂上決戦2022』で)確か青いノースリーブ姿で。

駒木根:もう忘れてください……(笑)。

小宮:それは置いておいて、映画ではたくさんの敵も出てきますし、『ドンブラザーズ』の撮影と時期がかぶったこともあって、スーツアクターさんもいつものメンバーではなかったんですけど、それぞれの魅力が出るように考えられたアクションになっていました。