2つ目は、ソニーの「LinkBuds(リンクバッズ)」で、2022年2月に発売された製品だ。ソニーストアでの価格は23,100円であり、価格帯としてはAirPods(第3世代)と並ぶ。LinkBudsの初期設定やカスタマイズは「Headphones Connect」アプリから行う必要がある。
耳穴を塞がない「LinkBuds」はコンパクトな設計も特徴
一応、同機もインイヤータイプのイヤホンに分類されるのだろうが、ドライバー(音を鳴らす機構)がドーナツのような中央に穴の開いた円形になっている点で、かなり個性が確立している。耳の穴を塞がずに音が聴けるので、周囲の環境音を確認しながら音楽を楽しめるのが特徴だ。
たとえば、屋外を歩いている・走っているような場面でも、後ろから近づく車の走行音に気付けるし、作業BGMを聞いている最中でも、家族や同僚からの呼びかけに応えやすい。
実は、耳を塞がないヘッドセットというのは、ソニーがここ数年積極的に取り組んできたジャンルでもあった。たとえば、2018年4月発売の「Xperia Ear Duo」や、同年6月発売の「STH40D」など、すでに円形ドライバーを活用した製品事態は存在した。ただし、どちらもサイズが大きかったのだ。LinkBudsの魅力は、イヤホン本体が耳介に収まってしまうコンパクトな設計にあるといえる。
カナル型でANC/外部音を取り込み機能を備えた製品と比べると、周囲の音の聞こえ方はよりナチュラルだ。耳への圧迫感もなく、その軽さゆえに、うっかり装着していることを忘れてしまいそうになることもあった。
ただし、製品の構造上、耳のサイズによっては装着しづらい場合も出てくる。特に耳が小さい人は装着感を確かめてから購入した方が安心だろう。
機能としては、頬と耳の間を2回タップして再生・停止をコントロールできる機能が面白い。ほかにも、ユーザーが声を出すと自動で再生を止めてくれる機能もあるのだが、検出感度によってはちょっとした咳払いでも止まってしまうので、やや利用しづらい感もあった。
音質については、標準設定だとAirPodsと比べると高音域が聞こえづらく、音圧も少し下がるが、ストリーミングで音楽を楽しむ分には、クオリティは十分高い。なお、こちらも構造上音漏れは発生してしまう。
さらに専用アプリからイコライザのカスタマイズや、Apple製品でいうところの空間オーディオに相当するソニーの音響体験「360 Reality Audio」にも対応している。対応サービスは限られるが、こだわりの音響体験を望む人でも楽しめる選択肢があるのは重要だ。
マイクの音質は、AirPodsと比べるとやや劣る。ドライヤーを駆動した状態で話すと、通話相手に届く音声は、水中にいるようなくぐもった感じが少し強まった印象になった。