“容疑者がロボット”で、“ロボット自らが自供”し、“ロボットの取り調べ”まである……第1話のあらすじを字面にしてしまうと、一見“トンデモドラマ”で、ともすればチープな作品になってしまうかもしれない。そんな危険性がはらむ題材を、どこまでもリアルに、重厚感がありつつ軽やかでスタイリッシュに、そしてエンタテインメントとして昇華できているのは、今作を手掛ける羽住英一郎監督の手腕だからだろう。
これまで手掛けてきた『海猿』や『MOZU』に通じるスケール感も加わり、“ロボットが犯人”という“ありえない”を見事な“リアル”に落とし込んでいる。突拍子もない設定を違和感がなく見せるどころか、ロボットを通じて人間ドラマまで描いていく過程は見事だった。さらに、この作品を彩る菅野祐悟氏の劇伴と、常に作品に溶け込む主題歌を生み出すDEAN FUJIOKAの新譜も必聴だ。
■科学は人類の“光”なのか“闇”なのか
今作最大のポイントは、科学が人類の“光”と考える主人公と、“闇”と考える最上との対比だろう。前半でそのことが分かりやすく提示され、主人公は“こういう人物”だと高をくくるのだが、それを大きくひっくり返してくる展開に驚がくさせられる。主人公の“光”とは文字通り“光”なのか? 一方から見れば“闇”なのではないか?……この部分が縦軸となり、今作に大きな深みも与えることに成功している。
果たして科学は光なのか、闇なのか。そして、ロボットは殺人を起こせるのか……。そのキャッチーな導入部から、ワクワク感はそのままにラストまであっという間のエンタテインメントで、続きが見たくなる展開に期待してほしい。