アイドルグループ・なにわ男子の道枝駿佑が主演する日本テレビ系ドラマ『金田一少年の事件簿』(24日スタート、毎週日曜22:30~ ※初回22:00~)。1995年に放送された堂本剛主演の第1作が大ヒットを記録し、以降、松本潤、亀梨和也、山田涼介と、スターへの登竜門的作品として代々受け継がれている人気シリーズだが、今回はテレビドラマの枠を超えたスケールで、日本ならではの呪いや怪談を題材にしたミステリーをシリーズ史上最大のスケールで制作。ディズニー公式動画配信サービス「Disney+」で世界配信(※中国本土除く)されることが決まった。
韓国ドラマが世界で勢いづく中で、今回の挑戦に日本独自の“ジャパニーズホラー”を武器に臨むと語るのは、第1作から同シリーズを手がける櫨山裕子プロデューサー。そこに込めた狙いとは――。
■海外作品が並ぶ中でどう魅力的に見せるか
山田涼介主演の前作から8年ぶりとなる『金田一少年』シリーズだが、なぜこのタイミングで再始動するのか。それは、テレビドラマを取り巻く環境の変化と、それに伴ったある目標を掲げたからだという。
「テレビドラマのソフト、特にテレビドラマの今後の方向性みたいなものを考えたときに、各局さまざまなトライをしていると思うんですが、今回『金田一少年の事件簿』という1つの看板、みんなが知っている原作をお借りして、日本独自のものでありながら世界に通用するものを作りたいというのが一番の目標です」(櫨山P、以下同)
Netflixで配信された『愛の不時着』が大ヒットを記録したように、世界を見据えたドラマコンテンツとしては韓国発が目立っているが、そこに日本のテレビドラマがどう割って入っていくのか……今回はその挑戦だというのだ。
「私なりに考えているのは、海外の配信ドラマ的なものと、日本の地上波におけるお茶の間で見るテレビドラマというものをどういう風に両立していくのかということです。そこに、『金田一少年』という作品が海外作品も並ぶ配信プラットフォームの俎上に上がったとき、どう魅力的に見えていくか、というものを追求していこうと思っています」
■“生首”の見せ方に試行錯誤していく
では、日本のテレビドラマを『金田一少年』という看板を使って、どのように世界へ魅力的に見せるのか。
「そこはやっぱり日本が独自に持っている文化というものを大事にしていこうと思っています。それは何かと言うと“ジャパニーズホラー”です。“ジャパニーズホラー”って、そのものをズバリ見せるグロテスクなものではなくて、見せない怖さ、横溝正史的な怖さだと思っていて、それは日本独自のものじゃないかと思うんですね。だからそれを今回追求するのに『金田一少年』というコンテンツは、すごく向いているんじゃないかと思います」
ジャパニーズホラーを“見せない怖さ”と定義する一方で、『金田一少年』と言えば蝋人形や生首など、鮮烈な映像も印象的だが、「ジャパニーズホラーはグロテスクではないと思うんです。そしてその“生首”を、現代ではどう見せるかという映像的な挑戦もあります。お客様が生首であることを認識した上で、どうグロくならないようにするか。そこを照明だったり演出でいろいろ試行錯誤していこうというのも今回のテーマです」と言及。
それを踏まえ、「昔の『金田一少年』って、画角も4:3だったりアナログの時代だったからこそ、怖く見せられた。だけど今回はいわゆる横長の画角で、解像度がめっちゃいいみたいな映像の中でどこまでその怖さを追求できるのか」という大きな挑戦になっている。
この挑戦は、前作までの土曜21時という放送枠ではなく、日曜22時30分だからこそ実現しやすいという側面もある。「日曜ドラマは、日本テレビのドラマ3枠の中でもエッジが効いていたり、比較的チャレンジができる枠です。だから今までの21時台ではやりづらいこと、それは例えば殺人とかそういうこともなんですけど、やっぱり時間帯が少し遅くなる分、やりやすくなる最適な枠かと」と、理想的な環境で臨めるようだ。