TSMCの魏哲家(C.C.Wei)社長兼COOは、4月14日に開催された2022年第1四半期業績説明会にて、2022年第2四半期の業績見通しについて、売上高として前年同期比37%程度の増加となる176~182億ドルとしていることを明らかにした。
また、同説明会にて行われたアナリストとの質疑応用も含めると、「2022年の通期業績(ドルベース)は、1月に予測した前年比25~29%増よりも伸び、同30%に達する可能性がある」と、年間を通じて好調が維持される見通しを示したほか、「3nmプロセス(N3)については、予定通り2022年下半期の大量生産に向けた準備が順調に進んでいる」、「N3はHPCとスマートフォン(スマホ)の両方で活用されると予想されるプロセスで、すでに多くの予約を受け付けている。N5(5nm)プロセスならびにN7(7nmプロセス)と比べ、最初の1年間でN3では新たなテープアウトが増えると予想される」、「パフォーマンス、電力、および歩留まりを強化して、N3ファミリをさらに拡張するための改良版であるN3Eを準備している。このN3Eも顧客からの期待は高く、提供についてはN3の1年後(2023年下半期)を予定している」と3nmプロセスの状況を説明。また、「新しいトランジスタ構造であるGate-All-around(GAA)を用いた2nmプロセス(N2)についても2024年にリスク生産、2025年に量産の目標は変わっていない」ことや、「2022年の設備投資計画は400億〜440億ドルで、この額は長期的な計画で決めたものなので、短期的な景気変動で変更することはない」としている。
さらに、今後も値上げを計画しているのか、また需要が緩んだら値下げするのかとのアナリストからの質問に対しては、「価格についてはコメントしない。価格は戦略的に決めており、短期的な景気変動で決めてはいない。需要が緩んでも値下げはしない」とコメントしたほか、半導体需要が緩む可能性を問う質問に対しては、「ウクライナ情勢や中国の一部都市で続くロックダウン(都市封鎖)などマクロ経済の不確定要素の影響で、スマホ、パソコン、タブレット端末など消費者向け電子製品の販売が低下しているものの、マイコンや電源管理IC(PMIC)の供給は依然としてひっ迫している。最終製品の半導体搭載量が増えている上、カーエレクトロニクスやHPCに対する需要は力強く、今年いっぱいフル稼働が続く」と、市場についての見方を披露した。
加えて、半導体メーカー各社の増産が進み、成熟プロセスが供給過剰になるのではないかとの質問に対しては、「TSMCは顧客の長期的な需要を確認した上で慎重に生産能力を増強しているので、供給過剰は起きないはずだが、仮に景気が減速したとしても、値下げしない契約になっているので、業績が悪化することはない」としたほか、「半導体製造装置の納入期間が長引く問題が2022年初めから起きており、ツールのサプライヤの支援に向け、現場にスタッフを派遣するなど、問題解決に向けて努力している」、「TSMCは業界で最大のEUVユーザーであり、ハイエンドEUVについて精通している。N2プロセスであろうとなかろうと、費用対効果があれば使う準備ができている。N2で使用するか否かについては共有できる情報は持ち合わせていない」と半導体製造装置に関するコメントを述べている。