音楽家の青葉市子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、17日に放送される『花子と大助 ~余命宣告とセンターマイク 夫婦の1400日~』。がんと闘い続ける夫婦漫才コンビ、宮川大助・花子が復活へ向かっていく姿を追った作品だ。
つらい局面を乗り越え、ともに支え合う2人を「精神的に“交ざり合っている”」と表現し、強く胸を打たれたという青葉。その思いが多くの人に伝わることを願い、語りに込めたそうだ――。
■ナレーションを読んで「心がポカポカ」に
『ザ・ノンフィクション』では、大助・花子夫妻に密着した『花子と大助 ~余命宣告から夫婦の700日~』を、2020年2月23日・3月1日に放送。これは、「症候性多発性骨髄腫」で余命半年の宣告を受けた花子と、彼女を支える大助の闘病記だったが、続編となる今回は、奇跡的な回復を見せ、「なんばグランド花月のセンターマイクの前に立つ」という目標に向かっていく姿が描かれている。
いずれもナレーションを担当し、「前回は花子さんが本当にどうなってしまうのか分からない中でのストーリーだったので、心配になりながら、ありのままの2人の姿を伝えなければと思って読みましたけど、今回はちょっとホッとした気持ち、少し安心した感じで読ませていただきました」という青葉。
読み終えた心境を、「温かい気持ちになり、心がポカポカしています。どんな困難も一緒に乗り越えていく2人の姿を見て、本当に勇気づけられましたし、読んでいてウルっとする瞬間がありました」と明かす。
■「自分が最も輝いていると実感できる場所」に共感
番組では、花子にとっての「センターマイク」への強い思いが映し出されているが、漫才、音楽とフィールドは違えども、ステージに上がるプロとして共感するものがあった。
「私は大きなケガをしたり、大病したということはないですが、心の面でいろんな経験を自分なりにしてきた中で、ステージの上での音楽というのが、花子さんにとってのセンターマイクと同じような存在だと思います。どんな精神状態であっても、ステージに上がってギターを構えて歌い出す瞬間、まるで神社でお参りをした時のように、絶対的に守られているような感覚があるんです。だから、きっと体が動かなくなったりとか、すごくつらいことがあったとき、真っ先に戻りたいと思うのは、歌が歌える場所、音楽があるところなんだろうなと思うので、気持ちが重なるところがものすごくたくさんありました。生きていて、自分が最も輝いていると実感できる場所がステージであることに、とても共感しました」
それだけに、ナレーション収録中は思わず映像に気持ちが入り込んでしまうことも。
「拍手が起きると一緒になって拍手したり、最後に『よーっ!』っとなったときに一緒に一本締めもしていました(笑)。おふたりが紡がれてきた時間や、支えたり見守ってくれたりしている人たちのことを想うと、自分がここで収録している現実をちょっと忘れてしまうくらい、ジーッと見たり聴いたりしてしまって、ナレーションのタイミングを忘れてしまうこともありました。それくらい素晴らしい時間を見せていただきました」