■八重と重なる生きることへの執着「自分だけではなく…」

八重の魅力については「頑固。言い方を変えると、意志が強い。かつ、自分の思いに忠実に行動する」と述べ、演じる上でそこを意識したという。「意志の強さは貫きたい。自分の大事に思っているものに対しては揺るがないという雰囲気を大事にできたらいいなと思って演じました」。

また、「ドラマの中の八重さんは、自分自身も、周りの大事な人に対しても、生きることへの強い意志を持っている印象があります。それはすごくいいことだと思いますし、そのためにすがるものを見つける力、諦めない力もある」と言い、「生きることに対しての執着、それを自分だけではなく周りにも願うというのは、自分の人生と共通して大切なことだと思います」と語った。

八重の生き方や考え方に最も影響を与えた人は? という質問には「義時」と答え、「史実では、頼朝さんと別れて自害すると言い伝えられていますが、この物語の八重さんは、義時がずっとそばにいてくれたことで、たくさんの幸せな時間を過ごした。そういう意味では影響が大きかったと思います」と説明。「視聴者の皆さんの感想を見ていると、頑固さな性格について『お父さんと似ている』と言われていて。撮影しているときはそこまで意識してなかったのですが、皆さんの感想を見て『確かに』と共感しました」と、父・祐親の影響も視聴者の声で気づいたという。

■善児に対する思い「新垣結衣としては、なんて恐ろしい人」

我が子、夫、父、兄を殺した善児(梶原善)に対する思いも告白。「八重としては……千鶴が亡くなったとき、手を下したのは善児だと聞きますが、指示したのはお父さんだと知るし、芹澤さん演じる江間次郎さんが身を挺して守ってくれたとき以外は、自分の家族みんな善児に殺されているとは知らないと思う。だから、八重としては、家の手伝いをしている身近な存在だったと思います。一方、物語を見ている新垣結衣としては、なんて恐ろしい人だと。八重の大切な人がみんなやられてしまって」と、八重として、自身として、思いを明かした。

そして、「善児は誰かの指示で動いていて、誰かに仕えていることが生きている意味なのかなと。趣味とかもなさそうじゃないですか」と善児のことも理解しようとするも、やはり「何を考えているのか想像できない、恐ろしい存在だなと思います」と怖がっていた。

■三谷幸喜から賛辞「思い描いていた以上の八重さんに」

本作ならでは意志の強い八重を魅力的に演じている新垣だが、自身としては「反省ばかりです」だと言う。だが、三谷氏から「自分が思い描いていた以上の八重さんになりました」という言葉をもらい、「その言葉で全部報われました。反省の気持ちは消えませんが、安心したというか、そういう風に言っていただけて本当によかったです」と安堵の表情。撮影中に三谷氏からアドバイスをもらったことも明かした。

初の大河ドラマで新たな学びも。「本格的な時代劇は初めてですし、NHKの連続ドラマに出演するのも初めてでしたし、初めてのことが本当にたくさんあったので、身になる経験になったと思います。所作などは現代劇でも美しくなるのかなと思いますし、お着物が体に馴染んでいく感じは、今後どこかで生きるのではないかなと思います」と語った。

■新垣結衣
1988年6月11日生まれ、沖縄県出身。2001年にファッション誌『nicola』のモデルとしてデビューし、その後、女優業もスタート。ドラマ『ドラゴン桜』シリーズ、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(06)、『パパとムスメの7日間』(07)、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ、『リーガル・ハイ』シリーズ、『逃げるは恥だが役に立つ』(16、21)、『親バカ青春白書』(20)、映画『恋空』(07)、『くちびるに歌を』(15)などに出演し、映画『ミックス。』(17)では第60回「ブルーリボン賞」を受賞。2022年は、『鎌倉殿の13人』で大河ドラマ初出演。また、映画『ゴーストブック おばけずかん』(7月22日公開)が控えている。

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