カメラ1台で場面の切り替えもCMもなく、一気にストーリーが展開される“完全ワンカット生ドラマ”にチャレンジするフジテレビ『生ドラ!東京は24時』が、きょう31日(24:25~ ※関東ローカル)に、いよいよ本番を迎える。

座長として引っ張る勝地涼は、この前代未聞の試みから「僕の役者としてやりたい夢がもっと広がっていくといいなと思います」と期待を持ちながら、気合いを入れて稽古に臨んでいるようだ。生本番2日前の稽古終わりに、脚本・演出の奥村徹也監督(劇団献身)とともにインタビューに応じ、エンタメへの思い、そして熱い意気込みを語ってくれた――。

  • 『生ドラ!東京は24時』主演の勝地涼(左)と脚本・演出の奥村徹也監督

    『生ドラ!東京は24時』主演の勝地涼(左)と脚本・演出の奥村徹也監督

■本当はあと1週間欲しい(笑)

深夜のカラオケボックスを舞台に、いつまでも青春にしがみつく男たちのシチュエーションコメディーが繰り広げられる今作。全体で行える稽古はわずか4日間で、3日目を終えた勝地は「稽古の日数としてすごく少ないのは不安ですけど、毎回毎回問題点や『これじゃうまくいかないな』という部分が見えてきて、ダメ出しの時間が充実してきています。本当はあと1週間欲しいですけど(笑)、今回の場合は全部かっちり決まってるから面白いというわけでもないので、すごく楽しいです」と心境をコメント。

奥村監督は「いつも劇団では90分の作品で150時間くらい稽古をやるんですけど、今回は30分で4日間、しかも勝地さんとは“はじめまして”から関係性を築いていくということで、結構急ピッチでいろんなことをやらなきゃいけないというのがあったんです。でも、率直に言うと、良いところまで来てるんじゃないかと感じています。稽古が少ない分、1回の密度がすごく濃くできていますし、まだまだ良くなるという発展途上のところから、本番でいかに爆発させるかという伸びしろのある状態でできると思うので、それが伝わるといいなと思います」と手応えを語る。

  • 稽古の様子

■「俳優の魅力で勝負できる作品」を実感

通常の舞台稽古との一番の違いは、役者たちが演技する中をカメラが移動するために起こる動きの制限だ。しかし、奥村監督は「舞台も平台何枚分かのスペースという制限の中でやってきたので、カメラが1台入ることの制限で何ができるのかというのを、あまり後ろ向きには考えなかったです」とのこと。一方で、「『この人いい顔してるけど、ここは諦めるか…』という場面はすごくありました。みんなカメラが向いてないときもずっと芝居を続けてくれていて、そういうのを見るとやっぱりすごいなと思いつつ、この空間にはこれが絶対必要なんだと思いながら見ています」と明かした。

また、“完全ワンカット生ドラマ”の難しさについて聞くと、勝地は「舞台の板の上ではなく、ロケという場所で予想以上に制限がいろいろありますし、どれだけお芝居をやっても撮られていない場所は映らないので、自分がどのテンションでセリフを言ったらいいのかというのがあります。テンポも上げづらいし、上げればいいというものでもないですからね」と回答。

奥村監督は「『舞台は俳優のもの、映像は監督のもの』なんて言葉を聞いたことがあるんですけど、この作品に関しては全く僕のものとは感じなくて、日々俳優のものになっているんじゃないかと思います。別のカットを作って顔にアップして感情をフォローするのではなく、俳優のセリフとか佇まいでそういった情報を補って行く必要があるので、ワンカット生放送だからこそ、俳優の魅力で勝負できる作品なんだなと思いました」と実感したそうだ。

  • モニターを確認する奥村監督

■「ある意味、もっと高度なことをやっている」

今回のチャレンジが発表された際の反響に、「悔しい」思いを持ったという勝地。

「僕、めちゃくちゃエゴサして(笑)、『楽しみ』という声のほかに、『舞台と一緒じゃん』という人がいたんですけど、全く違います。舞台は見に行った人が自分の目線で見たいところを見て、実際はカットを割っているので、ある意味、今回はもっと高度なことをやっているんです」と強調する。

その上で、「冷静に見ると、『何でやるの?』っていう企画ではあるんですよ。なぜ窮屈なほうに行くのかという話で。でも、窮屈に行くからこそ見える面白さがあると思っていて、これを見て、日頃ドラマを見ている人が『だからカット割りがあるんだ』とか、舞台との違いを見て『演劇をまた見てみよう』とか、そうやって戻っていくんじゃないかという気もしています」と、様々なエンタメに触れる機会が増えるきっかけとなることに期待をかけた。