■「僕みたいな若輩者に任せてくれることがTBSのすごさだと思う」

  • 『就活タイムカプセル』で主人公・朝井拓真を演じる佐野勇斗

戸島プロデューサーの話を聞いていると、自身の就職活動を通じて感じた思いが『就活タイムカプセル』に色濃く反映していることが分かる。

「就職活動って、人生にとってかなり大きな一大イベントだと思うんです。この作品のテーマは“後悔しない人生とは何か”というものです。自分自身が納得できる人生を歩むために、どういう選択をしたら一番後悔しないのか……そんな思いを胸に就職活動をしてほしいなというのが、この作品に込めた思いなんです」。

主演の佐野、ヒロインの田辺をはじめ、多くのスタッフが20代というフレッシュな面々で作られた物語。戸島プロデューサーも現在27歳という若さだ。そんな彼らは、昨今言われている“テレビドラマの危機”というものを、どう捉えているのだろうか。

「いまは配信ドラマなども強く、地上波とは違ったコンプライアンスのもと、自由な表現ができるのは羨ましいなと思う部分もあります。でも、今作も公式SNSを立ち上げると、やっぱり多くの反響をいただけるんです。まだまだ多くの方々がテレビを観てくれているんだなということは実感できました。たくさんの人と時間を共有できるという意味では、まだまだテレビドラマにも大きな可能性があるのでは……と思っています」。

さらに戸島プロデューサーは、TBSという会社の懐の深さも、作品作りには大きな魅力となっていると語る。

「単純に僕みたいな若輩者に地上波ドラマを任せてくれるということが、TBSという会社のすごさだと思うんです。企画を募って、若手で作るという貴重な経験を惜しみなくやらせてもらえるなんて、ありがたいですし、今後にしっかり活かしていかなければ……という使命感も出ます。いろいろな意味で、とても可能性が広がると思うんです」。

戸島プロデューサーは、日曜劇場『半沢直樹』や『日本沈没―希望のひと―』でアシスタントディレクター(AD)を務めていた。こうした業務でもTBSドラマの強さを肌で感じることができたという。

「ADの仕事はかなり過酷で、食らいつくことに必死だったのですが、監督やプロデューサーたちの作品に対する熱量のすごさには、毎回ものすごく刺激を受けました。こうした作品に対する愛情や情熱は、しっかりと受け継いでいければと思っています」。

俳優、演出、プロデューサー……。それぞれを経験したからこそ、見えてきたこともたくさんあるという戸島プロデューサー。将来の夢を聞くと「やっぱり日曜劇場は、TBSドラマのなかでも看板枠で、観てくださるファンも多い。いつかは僕も作品の軸に携わり、夢や希望、勇気を伝えられるようになりたいです」と照れくさそうに語っていた。

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