2020年春のビデオリサーチによる視聴率調査世帯の拡充に伴い、各局が「コア」(日テレ・フジ、13~49歳)、「新ファミリーコア」(TBS、4~49歳)など、購買力の高い重点ターゲットの視聴率指標を設け、この2年で番組編成も大きく変わってきたが、そこに異議を唱えるのがテレ東。大庭竹編成部長は「周りの局さんでは『ファミリーコア』とか『若い世代に向けた』というのを声高に言われまが、年齢とか性別だけで人を区切っていくのは今どきナンセンスだなと個人的に思うので、テレビ東京は『テレ東コア』…テレビ東京のファンの皆さんを大事にして、今後も頑張っていきます」と力を込める。

この翌日に行われたTBSの改編説明会で、“コア”についての見解を聞くと、瀬戸口克陽編成局長は「若年層のテレビ離れというものが叫ばれている中で、そういった方々にも見ていただく。要は、今テレビコンテンツを見るという習慣がなくなった人たちは、将来戻ってきてくれないという危機感がありますので、そういった方々にも見てもらえるコンテンツを作ろうと、我々TBSグループとしては体質改善していくとうことで、今後もその方針を変えずに戦っていきたいと思っております」と、新規視聴者の獲得を狙っていく考えを示した。

日テレは、改編資料で「東京五輪、北京五輪期間以外でのPUT(=総個人視聴率)の減少が止まりません。特に21時以降は顕著で、もはや看過できないレベルに及んでおります。また、コロナ禍も相まって、生活者の可処分時間の処し方、テレビ番組の視聴スタイルも激しく変容しております。このような現況を冷静に直視し、生活者動態および動向を見据えた適応策を講じることが急務です」と危機感を表明し、“OFFからONへ、ONからFANへ、FANからBUZZへ”と、潜在視聴者の獲得を強く意識した改編を打ち出している。

テレ朝は、若年層だけでなくシニア層も重視した「ハイブリッド戦略」の方針。榊原総合編成部長は「23時台以降などは49歳以下のターゲットを意識しつつ、ゴールデン・プライムタイムでは個人全体のターゲットに合った番組を編成するという形で、ハイブリッド戦略のもとに番組を提供していければと思っております。やっぱりテレビの前に集まっていただけるすべての視聴者の皆様に楽しんでいただけるコンテンツが大切だと思いますので、時間帯・コンテンツに合わせて様々なターゲットに番組をお届けできたら」と強調した。

■同時配信一斉スタート、先行の日テレは手応えも

TVerでの放送同時配信「リアルタイム配信」は、GP帯の番組を中心にテレ朝・TBS・フジが4月11日、テレ東が4月中のスタートを予定。これによる番組作りへの影響について、各局いずれも大きな変更はないとしている。

昨年10月2日から、先行して同時配信を行っている日テレの木戸弘士編成部長は「テレビのコンテンツをいろんなプラットフォームで展開するということで接触していただく機会を増やす意義というところで、手応えを感じているというのが現状の所感です。データ等の公表は差し控えていますが、新規の視聴者の方が比較的多いという傾向が出ています。普段テレビをご覧にならない方でも、見てもらえば面白いと思っていただき、そのコンテンツのファンになっていただける可能性はあると感じております」と感触を語った。

日テレでも、現在はGP帯番組を中心に配信しているが、対象番組の拡大については、4月からのキー局全局でのサービス開始も念頭に、「動向を注視しながら、今後については検討していきたいと思います」と述べている。