数々の名作を世に送り出してきた岡田脚本。本作でも花枝と芦田の恋愛を軸に、彼らの周りに集まる人々の深い思いを丁寧に描いている。

「ムチャクチャ共感できます。清原さんも、第4話で花枝が芦田にキスされそうになったとき、パンチで撃退したあと『そういうの、女の子がみんな喜ぶと思ったら大間違いですからね』というセリフにすごく共感できると話されていました。ただの胸キュンではないというか、しっかりと流されずに意見を言えるキャラクターを作っていただいているなと思っています」(武田P)。

「セリフに優しさや愛情が溢れているなと感じる瞬間がたくさんあります。積み重ねてきた思いがあるからこそ、口から発せられるセリフというか……。言葉に背景が感じられるので、共感できるのだと思います」(岩崎P)。

染み入るような言葉を紡ぎ、キャラクターたちに感情移入できる脚本。一方で、連続ドラマならではの、オンエアを観て変化していった部分もあるという。

「岡田さんがオンエア後、ドラマの感想を送ってくださるんです。そのなかで、第4話で芦田がムササビの真似をして飛ぶシーンがありましたが、あれは間宮さんがご自身で考えたものなんです。岡田さんがそれをすごく面白がってくださって、キャンプ場のシーンで、芦田がまたムササビの真似をするのですが、オンエア翌日ぐらいにあがってきた脚本に書いてありました。慎吾の歌も基本的には脚本にないので『メチャクチャ面白いですね』と言ってくださっています」(岩崎P)。

■間宮祥太朗の歌声に製作陣も驚き「衝撃を受けました」

劇中、芦田が歌う姿も本作の大きな魅力となっている。間宮の歌声は、視聴者からも大きな反響があったが、製作側にも新鮮な驚きがあったという。

「朝ドラで歌っている姿を拝見したり、楽器をやられているのも存じ上げていたのですが、あそこまで素敵な声をお持ちだったとは……という驚きがありました。最初一発屋のミュージシャンという設定だったので、正直歌がダメだったら、歌唱シーンがなくても成立させることはできるかなと思っていたんです。ただ事前に歌声を聞かせていただいたら、とても素敵だったので、これならばぜひお願いしたいという形になりました」(武田P)。

「私も視聴者の方と同じぐらい衝撃を受けました。声質の良さに加えて、俳優さんならではの表現力が歌に加わって、すごく心を動かされました」(岩崎P)

また第1話では、芦田が花枝にピアノの弾き語りで曲を歌う場面がある。あのシーンには強いこだわりがあったという。

「間宮さんはギターが得意ということで、ギターの弾き語りというアイデアもあったのですが、ピアノだと構図的に、花枝に背を向けて弾くことができるので、それをやりたいなと。花枝の顔を見ずに、彼女の背中を押すという、ちょっと不器用な感じが出ればなという思いがありました」(武田P)

主人公は大きな挫折を経験しているが、まだ21歳の女の子。武田プロデューサーは「これからなんでもできるし、恋だけが人生ではない」というなか、敢えて積極的に恋をしていこうと思うところが、本作の狙いだという。

だからこそ花枝をとりまく周囲の人間が魅力的である必要がある。そんな思いを込めたキャラクターたちが、ラストに向けて懸命に生きていく。「まだどう着地するのか決まっていないんです」と武田プロデューサーは笑うが「登場人物すべてが幸せになれるような結末にしたいです」と展望を語っていた。

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