• 木月洋介氏

木月:三谷さんは、そういう事業展開は考えているんですか?

三谷:自分はそういうのに向いてないんで、事業をしたいとは思わないんですけど、自分が何かやりたいと思ったときに自分のお金でそれができる環境をずっと作れるようにしたいと思っていて。『街録ch』を始めて2年くらい経つんですが、今度、会場借りてそこでVTRを出して、芸人さんにツッコんでもらって、V明けでトークしたり、Vがいきなり止まって何か違うことが始まる…みたいなライブをやろうと思っていて。

木月:へぇ~面白そう!

三谷:それをやるのに1回予算を出したんですけど、チケットの販売だけだと赤字なんですね。でも、『街録ch』をやりながらクラウドファンディングをやっていて、例えば地方ロケに行くときとか、何かお金がかかることをするときにファンが支援してくれるという基盤ができているから、やりたいことを発想したときに「これだけお金かかるから無理か…」って諦めないで進める環境を作ってるんです。その規模がどんどんでかくなっていくといいなと思いますね。今度やるのは300~400人くらいのキャパなのですが、それが1,000~2,000人とかになっていくと楽しそうだなとか、考えてます。

木月:リアルの客入れはお金かかりますからね。オンラインライブというのも試していいんじゃないかと思うんですけど。

三谷:お金を払ってくれるお客さんを持ってる人って、SNSのフォロワー数と全く別の基準だと思うんですよね。オードリーの若林(正恭)さんと佐久間(宣行)さんがタッグを組むと、4~5万枚のオンラインライブのチケットが売れちゃうじゃないですか。若林さんってインスタをやってますけど、そのフォロワー分の購買客ってめちゃくちゃ高い比率になるんですよ。でも、『街録ch』に58万人登録者数がいても、僕が「オンラインライブやります」と言ったときにその1,000分の1も集まらないんじゃないかなと思うんです。だから、これからいろんな力を借りて、嫌な言い方だとお金を払ってくれるファンをちょっとずつ獲得できるようにして、また違う楽しみ方ができる企画をやっていきたいなという感じですね。

木月:お金を払ってくれるお客さんをどれだけ持っているかっていうのは、今みんなテーマなんですよね。僕がやってる『久保みねヒャダ』のライブイベントって、オンラインとか最近はリアルもやったりしたんだけど、毎回ものすごいお客さんが来てくれるんですよ。それはあのお三方を応援したいとか、お三方の放送に乗らないトークを聞きたいとか、そういう需要があるんですよね。

三谷:そういうことですよね。だから、世帯視聴率1%未満の番組であったとしても、そういう宝が眠ってるんだろうなと思います。なので、まずは『街録ch』で登録者数100万人というのを目指しつつ、インタビューだけする動画を作りたいというわけでもないので、並行しながら今言ったようなことができていったらうれしいですね。

  • 『街録ch』トークライブの様子=1月19日開催

■「そんなムチャな話は無理だろうな」がテレビで実現

――三谷さんは、テレビ大阪の『ノンフェイクション』という番組をやられていましたが、久しぶりのテレビという感じでしたか?

三谷:あの番組はテレビをやったっていう言い方が合ってるのかちょっと微妙なんですよね。毎回週替わりで担当ディレクターがいて、何人かに密着したドキュメンタリー映像を作って、その中に1人だけウソの人がいるので、それをスタジオの岩井(勇気)さんと高橋ユウさんが見破るという内容で、カンフーさん(放送作家・大平尚志氏)からお話を頂いたんです。でも、せっかく僕がやるなら『街録ch』が急にテレビで流れ出すという違和感や事件性があったら面白いと思ったんですけど、「そんなムチャな話はだぶん無理だろうな」と思いながら提案したんです。それでもいいと言ってくれたので、宣伝にもなるしと思って、やらせてもらいました。だから、番組では8分の動画が3つ流れたんですけど、そのOA後に2つの本当のドキュメンタリー動画が『街録ch』で40分のフルバージョンとして配信されるということにしたんですよ。それなら、自分のマンパワー的にもできるなと思って。

木月:それは面白い取り組みですよね。

次回予告…~テレビを飛び出したディレクター編~<4> YouTubeから感じるテレビの“歯がゆさ”とは

●マイアミ啓太
1986年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、09年にフジテレビジョン入社。『笑っていいとも!』『もしもツアーズ』『キスマイBUSAIKU!?』『AKB48選抜総選挙』などに携わり、『人生のパイセンTV』で初めて演出を担当。その後『とんねるずのみなさんのおかげでした』『いただきハイジャンプ』ディレクター、『アオハルTV』総合演出を担当。19年に同局を退社し、株式会社MOOOVEを設立。『週刊さんまとマツコ』(TBS)や、ヒロミ、石塚英彦、後藤真希らのYouTube、ABEMA番組などの映像制作、オンラインサロン、美容サロン、リゾート開発のプロデュースなど、幅広く事業を展開する。

●三谷三四郎
1987年生まれ、東京都出身。法政大学卒業後、情報番組や『笑っていいとも!』などのADを経て、『さまぁ~ずの神ギ問』『有吉ジャポン』などのディレクターを務める。20年にYouTubeチャンネル『街録ch~あなたの人生、教えて下さい~』を開設し、一般人のほか、東野幸治、田中聖、坂口杏里、和歌山カレー事件・林真須美死刑囚の長男など話題の人物にインタビューしている。

●木月洋介
1979年生まれ、神奈川県出身。東京大学卒業後、04年にフジテレビジョン入社。『笑っていいとも!』『ピカルの定理』『ヨルタモリ』『人生のパイセンTV』『AKB48選抜総選挙』などを経て、現在は『新しいカギ』『痛快TV スカッとジャパン』『今夜はナゾトレ』『キスマイ超BUSAIKU!?』『ネタパレ』『久保みねヒャダこじらせナイト』『出川と爆問田中と岡村のスモール3』『バチくるオードリー』などを担当する。