YouTube・サブスク動画配信サービスの台頭、視聴率指標の多様化、見逃し配信の定着、同時配信の開始、コロナ禍での制作体制――テレビを取り巻く環境が大きく変化する中、最前線にいる業界の“中の人”が語り合う連載【令和テレビ談義】。
第7弾は、フジテレビを退社して映像プロダクション・MOOOVEを設立したマイアミ啓太氏と、テレビディレクターから転身して一般人や有名人にインタビューしていくYouTubeチャンネル『街録ch~あなたの人生、教えて下さい~』を立ち上げた三谷三四郎氏というテレビの世界を飛び出した2人が登場。この2人とともに番組制作した経験を持ち、『新しいカギ』などを手がけるフジテレビの木月洋介氏をモデレーターに、全4回シリーズのテレビ談義をお届けする。
第3回は、マイアミ氏が手がける事業展開の話題に。そこでは、初めて演出を手がけた『人生のパイセンTV』を通しての出会いや、番組制作で学んだ経験が生かされているという。一方の三谷氏も『街録ch』の今後の展望を語ってくれた――。
■事業が今の仕事の半分くらいに
――マイアミさんは今、テレビだと『週刊さんまとマツコ』(TBS)や、タレントさんのYouTubeなどを手がけられていますが、その他にも事業を展開されているんですよね。
マイアミ:僕がフジテレビを辞めた理由は、テレビじゃないことにもいっぱい挑戦したいなと思ったからなので、今は美容サロンを2つ作ったり、沖縄のリゾート開発をプロデュースしたりと、今までとは全然違う事業をやってます。「実業家」っていうのにずっと憧れてたんですよ。なので、せっかくテレビで学んだこの力を、コロナで今元気がない沖縄とかに使えればいいなと思って。新しいことが好きなので、そういう事業が今の仕事の半分くらいですね。
木月:沖縄のリゾート開発ってすごいね。
三谷:すごいですね!
マイアミ:美ら海水族館がある備瀬っていうところなんですけど、自然がまだまだいっぱい残ってて、すごくいいところなんですよ。ぜひ来てください!
木月:そういう事業は、『(人生の)パイセンTV』で出会った社長たちと一緒にやってるんですか?
マイアミ:そうですね。僕、『パイセンTV』をやってて本当に大きかったのが、いろんな社長とかとつながって違う世界を見れたことで、それが自分の人生を大きく変えてくれたんですよね。
木月:短パン社長(=奥ノ谷圭祐氏)に始まり(笑)。そういう人たちとの出会いが大きかったんですね。
マイアミ:大きいですね。学生のときに社長になりたい気持ちがあったんですけど、俺なんか勉強もしてなかったし、なれねぇか…って思ってたんですよ。でも『パイセンTV』で、「あれ? 世の中の社長ってみんなバカじゃん」って気づいたんです(笑)
(一同笑い)
マイアミ:むしろバカな人のほうが強いんだということが分かって(笑)、「俺だって勢いだけだったら行けるぞ」みたいな感じで、ワンチャンがあるんじゃないかと思ったんです。それと今、ヒロミさんのYouTubeをやらせてもらってるんですけど、ヒロミさんも周りに社長さんがいっぱいいるんですよね。そういう人たちから刺激をもらって、ちょっと真似してやってみたり。まだまだこれからですけど、やっぱり0から1を作るのが楽しいので、面白いですね。
三谷:でも、事業をやるのは使う脳みそが違うでしょうし、エネルギッシュだからこなせちゃうんでしょうね。マイアミさんって、なにか失敗とかしてもそれがかわいそうに見えない華やかさがあるじゃないですか(笑)。だから、そういうのに向いてるんだろうなって思いました。
木月:『街録ch』だったら、マイアミさんにどう聞きますか?(笑)
三谷:事業をしていると聞いたらその理由を聞いて、意味が分かればそのまま進んでいくし、それがどういう感情なのか分からなかったら理解できるまで聞くという感じですかね。だから、経営者の人たちに触れたという話を聞いて、なるほどなと思いました。
■リゾート開発のプロデュースは番組作りと同じ
――そういった事業の面で、テレビの経験が生きたことはありますか?
マイアミ:リゾート開発をプロデュースするって言っても、やっぱりメディアに取り上げてもらったほうがいいわけじゃないですか。でも、そういうことを知らない人がリゾートを一生懸命作っても、何が売りなのか、コンセプトは何なのかというのが、結構めちゃくちゃだったりするんですよ。テレビに取り上げられるためには、「このリゾートのコンセプトをひと言で言うと何ですか?」という問いにちゃんと答えられる必要がある。そういう目線は番組作りと全く一緒で、まさに演出していくような感じなので、テレビをやってこなかったら絶対できなかっただろうなってすごく思いますね。あの経験が別のところで生かせるんだというのは、今やっててすごく楽しいです。
木月:番組の企画立案とかと一緒なんですね。
マイアミ:そうですね。だから、テレビをやってる人たちは、実は事業とかやっていくと幅が広がるんじゃないかなって思います。