――劇中で、ひなたがあるオーディションを受けるシーンがありますが、オーディションには緊張せずに臨めるほうですか?
川栄:臨めないです(苦笑)。
――でも、川栄さんはオーディションでひなた役に抜てきされたわけですよね?
川栄:実は、最終審査の1つ前の審査で、いろいろな質疑応答があったのですが、私以外の2人は質問攻めにされていて、会話がすごく盛り上がっていたのですが、私の時は質問が1個ぐらいしか出なくて、シーン……となっちゃって。これはダメだ! もう落ちたなと思ったんです。その時はすごく緊張しました。
――そうだったのですね。本郷さんも、オーディションにまつわるエピソードがあれば教えてください。
本郷:僕は4歳から芸能活動をしているので、オーディションは大小合わせてたぶん100ではきかない数をやってきています。そのなかで、1つ強烈に覚えているのが、小学校の4~5年くらいで受けたドラマか映画のオーディションで、横に寝ているADの女性にキスをしなさいという内容でした。みんながビビッてできなくて、僕もできなくて、そして落ちたのですが、おそらく子どもたちに度胸試しをされたんだと思います(苦笑)。
川栄:すごいね(笑)。できた人が受かったのかな?
本郷:時代もあったと思いますが、変なオーディションでした(笑)。
――ひなたは、どこにでもいそうな等身大のヒロインですが、そういう普通さを演じることの難しさはないですか?
川栄:私は今まで「本当に普通だね」としか言われたことがないので、今回のひなた役は本当にすごくやりやすいです。ひなたは勉強ができなくて、英語もできなくて挫折しちゃっても、あっけらかんとしてる感じが、すごく自分に似た部分が多いので、やっていて大変だなと思ったことはあまりないです。ただそれは、周りの方々に助けてもらっているからだと思います。
――五十嵐はちょっと変わった人物というか、変人的な面がありますが、本郷さんご自身にもそういった面はありますか?
本郷:たぶん無限にあります(苦笑)。僕は100%人から「変わってるね」と言われますので。
川栄:本郷さんは普段、得体の知れない生物みたいで、何をやっても面白いです。全部が変わっていて、なかなかこういう人は見たことがないです。でもそこがめちゃくちゃ良くて、知れば知るほど好きになるというか、掘っていけばいくほど面白い。普段はそこを隠し、シャットダウンしている感じがあるので、もっと自分をさらけ出したら、今よりもっとみんなから愛される人なんじゃないかなと思います。
――朝ドラの現場で、鍛えられたと感じているのはどんな点でしょうか?
川栄:今回は関西弁と英語の台詞がたくさん出てきますが、私は26年間で今が一番勉強しています。今までしてこなかったこともありますが、とにかく頭に詰め込むことが多くて、その能力は今後、プラスになっていくんじゃないかなと思っています。
本郷:僕はそんな川栄さんを毎日見ていて、めちゃめちゃ尊敬しています。ただでさえ忙しいスケジュールで、普通の人だったらパンクするくらいの分量を覚えるだけでもすごいのに、周りにその感じを一切出さず、当然のようにやってらっしゃる。僕だったら寝不足な感じになりますから。川栄さんの姿勢を見て、僕も頑張らなきゃいけないと思います。努力をしているのに、それを見せないでやっている姿が本当に素敵で、そのお背中を拝見させてもらっています。
1995年2月12日生まれ、神奈川県出身。NHK連続テレビ小説の出演は『とと姉ちゃん』(16)に続いて2作目。2018年に『恋のしずく』で映画初主演。ドラマの近作は『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(20)、『知ってるワイフ』(21)、『ドラマ 星影のワルツ』(21)など。映画の近作は『ステップ』(20)、『地獄の花園』(21)など。また、メインゲスト声優を務める劇場版『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝(ちんぷうでん)』が4月22日より公開。
1990年11月15日生まれ、宮城県出身。主な映画出演作は、『GANTZ』(11)、『GANTZ PERFECT ANSWER』(11)、『進撃の巨人』(15)、『鋼の錬金術師』(17)、『いぬやしき』(18)、『Diner ダイナー』(19)、『キングダム』(19)など。ドラマの近作は大河ドラマ『麒麟がくる』(20)、『56年目の失恋』(20)、『大江戸もののけ物語』(20)など。映画『嘘喰い』が2月11日より公開。
【川栄李奈】ヘアメイク:ESPER 伏屋陽子 スタイリスト:高橋美咲 ドレス、シューズ:トッズ ピアス、リング:プリュイ 【本郷奏多】ヘアメイク:Hair and make up 髙橋幸一(Nestation) スタイリスト:川地大介 衣装協力:クロ/クロ ギンザ
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