――銭湯といえば、『ビヨンド・ジェネレーションズ』の最初のシーンでは倫太郎が風呂あがりの状態で腰にバスタオルだけ巻いて、ノーザンベースにいるソフィア(演:知念里奈)のもとへ駆けつけるシーンが楽しかったですね。
山口:ハハハ!(笑)
青木:倫太郎はね、鍛えている身体を見せたがるところがありますから(笑)。
山口:いや~スタッフの中に「倫太郎の肉体をもっと見せたい」と思ってくださる方がいるんじゃないですかね。
青木:いねーよ!(笑)
内藤:フォトジェニックな肉体美が倫太郎の魅力だから(笑)。
山口:テレビシリーズでもけっこう脱がされました(笑)。
青木:貴也は普段から「鍛えているアピール」してましたからね。
内藤:何かあったらすぐ「脱ぎますよ!」って(笑)。
山口:今まで自分が「筋肉キャラ」だと思われていた時期はあまりなかったんですけどね。
青木:貴也は倫太郎と同じく努力型の人間なので、トレーニングを真面目にコツコツやって、美しい肉体を作り上げていました。
――話題を『深罪の三重奏』に戻しますと、シリアスで重い本編ストーリーをしっかり受け止め、切ない余韻をも残してくれる主題歌「Bittersweet」を、内藤さん、山口さん、青木さん、そして須藤芽依役・川津明日香さんの4人で歌われたことも話題となっています。ムーディーな曲と、PV撮影されたエンディング映像が見事にマッチしていましたね。
青木:哀愁ただよう、いい曲ですね。僕はあのPV撮影のときは、ここにいるみんなといつまた会えるかわからない……といった切ない心情を込めて演じました。そして、『セイバー』で最初に顔合わせをした日から撮影最終日までの、数々の出来事を思い出しながら歌っていましたね。
山口:うわあ、今言われた以上のいいコメントが思い浮かばない(笑)。
内藤:僕たちも思いは一緒だよね。PVも作品のひとつだという気持ちで撮影したのは初めての経験だったので、強い思い入れがあります。エンディングが終わって作品が締めくくられた瞬間、これまでの思い出が甦ってきて、懐かしさ、寂しさとかいろんな感情がわきあがりました。
山口:上堀内監督の情熱もすごかったですね。
青木:僕たちの動きについては、好きなようにやっていいって言ってくれたのがうれしかったな。
山口:僕なんて、すごく悲しそうな顔になってしまってますね。人生なかなかうまくいかないな、ほろ苦いな、って気持ちが表情に出ていた気がします。
――テレビシリーズでもドラマチックなエピソードを演出された上堀内監督とは、本作の撮影中にどんなお話をされましたか。監督からもらった言葉で、特に印象深いものとは?
内藤:劇中、飛羽真が「衝撃的な秘密」を知る場面があるんですけど、そこで普通にビックリしてしまうと、作品全体の印象が違ってきてしまう。自分の中で「もしかしたら……でもまさか」という感情を出すため、表情の作り方を上堀内監督から教わりました。目の表情を自由にやらせてもらい、その感情を「10パーセント」くらい残しながら驚く芝居をしたのですが、後で監督から「お前の芝居で、あのシーンが“見えた”んだよ」と言ってもらえて、その言葉が一番うれしかったですね。
青木:僕も上堀内監督とは、衣装合わせのころからずっと綿密な打ち合わせを繰り返していました。監督も僕も、お互いにわからない部分はどんなことでも話し合い、演技に反映させています。僕が理解できている部分では好きなように演じさせてもらえたり、監督が思っていることをはっきり言ってくれたり、この作品全体が強烈な思い出として僕の心に残っています。
山口:上堀内監督とはテレビシリーズで、倫太郎がズオス(演:才川コージ)に敗れる回(第6章)を撮っていただいたときのことが印象に残っているんです。あのとき監督から「君はそのまんまが倫太郎だから、自分の思うようにやればいい」と言われたので、「考えるな、感じろ」と思いながら芝居するようになりました。監督の「それでいいんだよ」という言葉が、今でも忘れられません。
内藤:僕たち役者の「感情」を優先し、芝居をする上で何が重要かを教えてくださいました。
山口:演技において感情は「作る」のではなく、自然に体内から湧き上がらせろ、という感じでしたね。
内藤:そういう意味でも、今回の作品は僕たちの細かい感情の変化とか、表情、目線、動作とか、すべてに注意して観てほしいところがあります。
青木:一度だけではなく、二度、三度繰り返して観てほしいですね。
山口:映画館にも足を運んでいただきたいし、Blu-rayやDVDでも繰り返し観てもらって、細かい感情表現をじっくり観察してもらいたいです。
内藤:ミステリー仕立てで、最初の部分が最後につながっていたりするし、何度も観ていくうちに「ここはこうだったのか!」と新しい発見ができるのではないかと思います。