――飛羽真が我が子のように育てている少年・陸を演じる嶺岸煌桜さん、そして飛羽真を献身的に支える幼なじみ・間宮を演じる木村了さんの印象はいかがでしたか。

飛羽真、間宮、陸、そして犬のラッキーと一緒にいる時間が長く、みんなとはカットの合間にいろいろなお話をしていました。陸くんがソファーで寝ているシーンがあるんですけど、長時間の撮影で疲れてしまった煌桜くんが本当に寝ちゃってて、ああ~かわいいな~って思ってました(笑)。

あと、難しかったのはラッキーと絡むときの芝居です。何度も撮り直す、みたいなことはありませんでしたが、飛羽真や間宮と会話しつつ、ラッキーを自分の側に留めておくことがなかなかできず、そこが苦労したところかな。

木村さんは撮影の間ずっと優しく接していただき、ありがたかったです。空き時間にも気さくに声をかけてもらい、場の空気がなごみました。木村さんはご結婚されているので私も興味本位で「結婚っていいものですか?」なんて聞いたりして(笑)。私にとって木村さんは『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(2007年)の印象が強く、共演できてうれしかったですね。

――主題歌「Bittersweet」が流れるエンディングでは、川津さん、内藤さん、山口さん、青木さんが劇中とは違った雰囲気の衣装で現れ、PV演出が施されているそうですが、こちらの撮影についてのご感想を聞かせてください。

PVでは歌っている自分の顔がアップになるので、音と口の動きを合わせるリップシンクが難しかったんです。事前に「このカットが顔のアップになります」と教えてもらって、その部分だけ歌詞を覚えていましたが、フルコーラスで一度撮ることがわかって、準備中に必死で覚えていました。私、歌詞覚えるのって苦手なので(笑)。

また、PVでは本編中と印象を変えるため、衣装選びにも苦労しました。男性メンバーの中にひとり女性が入るので、みんなと一緒のときどういう風に見えるかを考えて、みんなの衣装が決まるのを半日かけて見学していたこともありました。上堀内監督からは「8年が経って、みんな酸いも甘いもかみ分けた大人になった。ほろ苦い人生かもしれないけれど、個々に頑張っていこう、というメッセージを込めた」と歌詞についての説明がありました。みんなが大人っぽい仕草や表情で仕上げてきているなと思いましたし、私も「大人になった芽依」をどう表現しようか、工夫を重ねてみました。

監督はまた「ドラマ『カルテット』(2017年)みたいな雰囲気で撮りたい。できれば芽依の髪を染めてほしいんだけど」とも言っていて、私も『カルテット』の松たか子さん、満島ひかりさんが大好きですので、あの雰囲気か~と思いながら髪を暗めの茶色に染めました。髪色が変われば気分も変わりますし、やってよかったと思いました。

――4人で歌われた「Bittersweet」収録時はどんなようすだったのですか。

女性ひとりと男性3人ですから、バランスが難しいんじゃないかって最初に思いました。私の声がみんなと組み合わさったときどんな印象になるかを考えて、ボーカルとは別にいろいろ「声の素材」も録音したんです。そんなにスキルもないのでうまくできたかどうかわからないですけど、「吐息」なんかも頑張って出してみました。でも、普段そんなに歌を歌う機会が少なく、レコーディング室の空気に慣れていないこともあって、長時間自分の声を聴いているとだんだん気分が悪くなってきて、立ち会っていた上堀内監督に「すみません、倒れそうです……」と言ったらすごく驚かれてしまいました。

――試写を観られたときのご感想を聞かせてください。

台本を読み、演技をしていたときは気づかなかったことが、完成映像になって「あっ! これ伏線だったんだ!」と気づくなど、意外な展開を味わうことができました。飛羽真、倫太郎、賢人の他にも『仮面ライダーセイバー』のメインキャストである剣士のみんなが登場して、それぞれの8年後の姿が観られます。ぜんぜん変わっていない人もいれば、8年間いろいろあったのかな、と思うくらい印象が変わった人もいて、楽しめました。『セイバー』キャストって20代半ばの人が多くて、その年代ならではのノリ=「セイバーノリ」みたいなのがあり、ちょっと懐かしい気持ちになりましたね。

――改めて『仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏』の見どころについて、一言お願いします。

『セイバー』キャスト陣それぞれの8年後が描かれ、どんなところが変わっているか、また変わっていないかという部分に注目してください。何者かの思惑によって飛羽真、倫太郎、賢人の身の回りに「ある変化」が起こりますが、芽依はその変化に気づいていない様子なんです。巻き込まれている自覚のある人、芽依のように自覚のない人、誰の目線に立っても面白く観られる作品だと思います。ファンのみなさんには、それぞれの推しキャラクターの「劇中で描かれていない8年間の出来事」を想像しながら観ていただきたいです。

Vシネクスト『仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏』は2022年1月28日より期間限定上映。5月11日には東映ビデオからBlu-ray&DVDソフトが発売される。

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