第3セッションは「モバイル基盤の仮想化」と題し、IJ 基盤エンジニアリング本部の根本昂氏が講演した。
IIJmioのようなMVNOサービスでは、アンテナなどの設備はMNOのものを使うが、モバイル網とインターネットを繋ぐ「PDN Gateway」(PGW)から先はMVNOが用意したものを利用する。これまでPGWは専用のハードウェアを用いていたが、これを仮想化する(仮想化PGW)際のポイントが今回の講演の骨子だ。
専用機を使っているときは責任範囲が単純明快だが、仮想化すると要素を自由に構成できるメリットがある反面、責任範囲が要素ごとにバラバラになるのがデメリットになる。IIJでは仮想化時のトラブルを減らすために、設計思想からネットワーク構成まですべてを見直して、設計をシンプルにすることを徹底。ドラスティックに変更したため、大丈夫かと心配になるほどだったが、結果的にはよかったとのこと。
また、一度変更したら、検証し続けることが重要であると指摘。机上の理論だけでなく、実際の環境で検証を繰り返したが、結果が妥当かどうかの判断も難しいため、その検証や調査も地道に重ねることが重要だとした。
さまざまな業務で仮想化環境を導入するところも増えているが、こうした環境の構築においてどのような準備や心構えが必要かの参考になる講演だった。