今作にお仕事ドラマとしてさらに、彩りを加えているのが、“ムチャブリで社長”になって任された、寂れたレストランの再建。突然、レストランの再建を命じられ、何もかも分からない社長のもとで、これまでとは全く異なるコンセプトで運営を進められてしまうシェフ(神保悟志)ら老舗フレンチレストランのメンバーとのストーリーが加わる。
そこでは、王道とも言えるレストラン再生物語の中に、“ムチャブリで社長”なってしまったヒロインにしか出せない困惑と苦悩、そして共感がマリアージュすることで、味わったことがあるようで、味わったことのない、新鮮なドラマ体験をさせてくれるのだ。
“ムチャブリで社長”に抜てきされ、任務はフレンチレストランの再生――と、ここまでのあらすじを見ると「ならばフレンチレストランの店長という設定でいいのでは?」と思ってしまいそうだが、侮るなかれ、このドラマは“決断”というテーマが内包されている。
そこには、主人公がムチャブリであっても社長になるという決断でもあり、そんなヒロインを子会社の社長に抜てきするという親会社社長(=浅海)の決断でもあれば、社長として会社・社員のために下さなければならない決断も含まれる。これは“店長”という設定では決して描くことのできない“決断”で、流されるがままに、思わぬ経緯で、“ムチャブリで社長”になった主人公が、自分の進退をどう“決断”し、彼女が率いることとなった社員たちへどんな“決断”を下すのか…。それが第1話、そしてドラマ全体の見どころになっている。
そんな“決断”のドラマを、この日本テレビの水曜10時の枠らしく、軽やかに、スピーディーに、ビビットに、高畑が着こなすファッションにも注目しながら、トレンディドラマ的に気軽に楽しめる今作。その中で、ちょっと立ち止まって考えたくなる、深みもある。それはこの枠で続く、『ハコヅメ』や『恋です!』と同じ系譜で、今後もさらに、ライトでありながらも、じっくり楽しめる…そんなドラマになりそうな予感だ。