――原作では、“しもべえ”は強面。ユリナはギャルという印象があります。ビジュアル面でのこだわりがあれば教えてください。
安田:衣装合わせのときは、昭和の香りがほしいとお願いしました。これは、監督と意見が一致してこだわった点です。80年代の香りというか、少し面白いフォルムになるといいなと。当時の人がなぜあそこまで肩パッドを入れていたんだろうと思ったりするんですが(笑)、そういったビジュアルが“しもべえ”の持つある種の違和感につながったらいいなと思っています。原作のビジュアルも拝見しながら、いろいろと考えていきました。
白石:ユリナは、話数ごとにピン留めの色が変わります。監督も「毎話、変えていきたい」とこだわっていらっしゃいました。あとは短めの靴下を選びました。私が女子高生だった当時も、ふくらはぎまであるソックスはあまり履いていなくて、短めの靴下を制服に合わせていました。
安田:それは僕と逆だね! 僕は靴下を伸ばしたいと思って、この47年で生まれて初めてソックタッチを使っています。靴下の長さまで見えないんですけれどね(笑)。
――細かいところまでこだわりが詰まっているのですね。“しもべえ”はアクションも多い役柄になりそうです。
安田:そうですね。現場では悔しいので言いませんが、筋肉痛がひどいです(笑)。
――2021年、安田さんは宇宙人や犬などいろいろな役を演じられました。白石さんも映画、ドラマにと大活躍でした。2021年はどのような1年になりましたか?
安田:いろいろな役ができるということは本当にありがたく、うれしいことです。舞台では演じられる役が無限にあって、たとえ70歳になったとしても赤ちゃんや子ども、男性や女性、雨や風、太陽、宇宙、海や空気までなんでも演じることができます。映像だとなかなかそういったことはできませんが、逆に言えば今この年齢だからこそ演じられるものがある。今回の“しもべえ”もそういった役だと思います。その年齢に応じたものができる状況も、とてもうれしいです。2021年は宇宙人や犬も演じることができたので、2022年はどうしましょうかね(笑)。
白石:2021年は映画『胸が鳴るのは君のせい』でも女子高生役を演じさせていただきました。23歳になりましたが、まだ女子高生の役をいただけるのか! と思ったりもしました(笑)。毎回、女子高生の役をいただくたびに「これが最後なんじゃないか」と思いながら楽しく演じています。安田さんのように、私も人間ではない役をやってみたいです。そのためにも2022年はもっと精進して、頑張っていきたいなと思います。
1973年12月8日生まれ、北海道出身。演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。舞台、映画、ドラマなどを中心に全国的に活動する。主な主演作に映画『愛しのアイリーン』(2018年)、『私はいったい、何と闘っているのか』(2021年)など。実父とのやりとりを綴った『北海道室蘭市本町一丁目四十六番地』も発刊し、思いの丈を柔らかい文章で表現。硬派な役から個性的な役まで幅広く演じている。
■白石聖
1998年8月10日生まれ、神奈川県出身。2016年に女優デビュー。2017年にドラマ『I"s』のヒロインに抜てきされた。『恐怖新聞』(2020年)で連続ドラマ初主演を果たす。2018年から『白石聖のわたくしごとですが…』でラジオパーソナリティーも務め、映画、ドラマ、CMと活躍の場を広げている。
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