女優の天海祐希が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『緊急取調室』が、最新作『緊急取調室 特別招集2022 8億円のお年玉』を引っさげてあす3日(21:00~)にカムバックする。今作では緊急事案対応取調班に比嘉愛未演じる生駒亜美、野間口徹演じる酒井虎三が新メンバーとして加わり、キントリと対峙するスーパー法曹一家・源家の面々として菜々緒演じる謎の家政婦・松原しおり、高畑淳子演じる母の秀子、井上順演じる父の悦男、木村了演じる息子の修一が登場。7年間続くシリーズで座長を務める天海に話を聞くと、「役者同士の議論が大事」「ゲストこそ主役」といった思いと共にキントリ現場ならではのホスピタリティが浮かび上がってきた。

  • 女優の天海祐希 撮影:泉山美代子

■『キントリ』新メンバーへの思い

緊急事案対応取調班に新メンバーが加わることについて、天海は既存メンバーの心境を「自分たちがベースを作ってきたという自負はあるでしょうし、誰が来ても変わらないものは絶対にあると思うんですね。だけど新しい風を吹かせてもらえて、組織の成長につながるという期待ももちろんあると思います」と代弁し、新メンバーへは「それぞれの場所で経験を積んで来た方たちなので、今のメンバーより知識を持っている分野もあると思うし、緊急事案対応取調班はそういうものをどんどん吸収してさらに大きくなれるのでは」と想像。

天海演じる真壁有希子は、新メンバーが加わったとき何を伝えるのだろうか。天海は「真壁も言葉や理屈で教えてもらったわけではなく、いきなり犯人の前に座らされて、まわりのメンバーを見て自分の経験値を上げていった。今作の台詞に『指導はなし』『取調べは人間と人間のぶつかり合い』『あなたの方が犯人の心を開くかもしれない』とあるのですが、まさしくその通りだなと思っています」と、特別な指導はしないだろうと示唆した。

続いて天海自身から新キャスト陣に伝えたいことを聞くと「私個人としては『伝えていきたい』なんて大それたものは全くございません」と謙虚に否定。そして「そのシーンをどう感じたか、その台詞をどう理解しているかって、キャスト同士で議論をすることが大事だと思っていて。自分では思いつかなかったことを考えて来られる方もいらっしゃいますし、話し合うことでその人自身の背景や経験に触れられるような気がするんです。だから“議論”することが嫌いではないんですよ、私」と続ける。

■役者同士の議論の大切さ

役者同士の議論の場では「難しいことだけど、役者にとって自分の考えを自分の言葉で伝えられるという能力がすごく大事」と提言し、「皆がやりやすいのかやりにくいのか、それはなぜかということをお互いに理解し合えると、とても深みのあるシーンになると思います」と述べた。

天海の先輩たちにあたる世代に比べ、昨今は議論の機会が減ってしまっているという。「最近の現場では、出過ぎると迷惑なんじゃないかという思いから、自分が作ってきたお芝居をそれぞれが発表しつつ、お互いを邪魔しない程度に演じるということが多く、壁を感じることもあります。でもそこで声をかけると、若い方でも堰を切ったように話してくださるので、せっかくそんなに考えてきたんだったら皆で作っていこうよ、と」。そんな思いを持った天海が座長を務める『緊急取調室』は、コミュニケーションにあふれた現場であると自信を見せる。「遠慮せずに話をしてほしいですし、私たちもどんどん提案していきたい。作品は文字通り“皆で作るもの”。とことん話をしてお互い納得して演じるのがいい。私がたくさんの先輩方とお話をして学ばせて頂いたように、もしかしたら、演技プランをぶつけ合うことで私から何かを感じてくれることもあるかもしれない」と話し、天海は再度「私はそんな大した役者じゃないんですけどね」とはにかんだ。