「よろしくお願いします!」と、はつらつとしたあいさつとともに現場に現れ、質問を受けるたびに「ありがとうございます」と感謝を述べ、飛沫防止のアクリル板を隔てた環境を気にして「私の声、聞こえますか?」と配慮しながら話す――取材でもパワフルに気を配る女優、それが天海祐希だ。
今回のインタビューでは、幅広い世代から「かっこいい」「こんなふうに生きたい」と憧れや共感を集める天海の人生観や、“キントリ臨時再結成”で話題を呼んでいるテレビ朝日系ドラマ『緊急取調室 特別招集2022 8億円のお年玉』(2022年1月3日21:00~放送)について、そしてその主人公であり、天海が演じた役として最も長い付き合いとなる真壁有希子への思いを聞いた。
■どんなこともポジティブに捉える
現在54歳の天海。50代を「楽しくて仕方がない」「仕事も私生活もこれからさらに楽しくなりそう」と謳歌する姿は、『緊急取調室』で演じる真壁が気合いを入れるときの決め台詞「面白くなってきたじゃない」とどこか重なる。
どう過ごせば天海のような楽しい50代を迎えられるのだろうか。天海は「皆さん、すでにご自身の生活を頑張っていらっしゃると思いますが」と前置きし、「やはり目の前のことを日々一生懸命やることが大事ではないでしょうか。20代や30代前半に比べ、30代後半や40代の中堅どころになると、お仕事では大事なところを任されるようになって、失敗も許されなくなって、上と下の意見に挟まれるようになってきて……。だけど、任されること、上も下も繋げられる役割だということをポジティブに捉えて、楽しく、それでいて責任を持ってやるべきことをコツコツと頑張れば、絶対に素敵な日々が待っていると思います」と力強くメッセージを送ってくれた。
30代の頃「こんな芝居じゃだめだ」と力不足を悔いた過去も、天海はポジティブに振り返る。「その経験があるから今がある。お芝居ってもちろん持って生まれた素質や勘もあるとは思いますが、1日や2日でうまくなるものではない。たくさん経験させていただいて、いろんな方のお芝居を見て蓄積されたものが今の自分を作っている。楽しかったことも、つらかったことも、無駄だったことは何もないと思っています」。
■追い込まれたときこそ面白い
台詞としては数え切れないほど口にしてきた「面白くなってきたじゃない」。天海自身がそう感じるときはと聞くと「やっぱりもう、追い込まれたときに思うんじゃないですか?」とニッコリ。“追い込まれる”といえば、以前『緊急取調室』の肝となる取調シーンの撮影前夜にはいつも夜中に目が覚め、台本を見て「大丈夫、覚えてる」と確認してまた眠りにつくということを何度も繰り返してしまうと明かしていた。「取調シーンは、信じられない量を月火水続けて3日間で撮り切るというスケジュールが多いんです。その間ずっと長台詞。『面白くなってきた』って思わざるをえないですよね(笑)」。
逆境を前に「面白くなってきた」と感じる天海祐希マインド。通じるところは、なんと“自衛隊”だという。「鍛錬で追い込まれたときに『自分は今強くなっている』と感じる方がいると聞きました。私も同じように、追い込まれたとき『今強くなっている』と思えるんです。『面白くなってきたじゃない』って思えば、逆境も乗り切れそうな気がしませんか?」。真壁が聞いていたら、大きく頷いているかもしれない。
■キントリ臨時再結成への思い
新春に放送される『緊急取調室』スペシャル。9月に迎えた第4シーズンの最終回で真壁らキントリは解散したが、臨時再結成されることに。このたびのオファーに「井上先生がご負担にならない範囲でおやりになるというのであれば、ぜひやらせてくださいとお答えしました」と脚本家・井上由美子氏に思いを馳せながらも、「解散、解散と言っていたので心苦しい思いもありましたが、解散を残念に思っていただけていたなら、復活の喜びもひとしおかな」とファンに寄り添い、最後に「キントリの皆さんにお会いできるのも楽しみでしたし、ありがたいことだと思いました」と自身の思いを述べた。