『バカ殿様』や『だいじょうぶだぁ』の収録は、スタジオ内にかなりの数のセットが建っていたそう。「セットの入れ方も考えないといけないんです。もうパズルをやっているような感じでした」と、搬入手順にもひと苦労だ。
『バカ殿様』では、廊下のセットを撮るアングルを変えたり、ふすまを障子に変えるなどして別の場所に見せることで、限られたセットの中で、バカ殿と家老たちが城内を追いかけっこするといったシーンを撮る工夫をしていた。
また、「変なおじさん」の撮影が特に長かったのが、印象的だという。「ドラマ演出を取り入れていて、細かくカット割りをしていくので、志村さんとディレクターとカメラマンの3人で、よく綿密な打ち合わせをされていたのを覚えています」。
■受け継がれるドリフ&志村さんのノウハウ
フジテレビでは今年4月から、ゴールデンタイムでの久々のレギュラーコント番組『新しいカギ』(毎週土曜20:00~)がスタート。ここに、ドリフや志村さんのコント番組の技術が継承されているという。
「『バカ殿』や『だいじょうぶだぁ』ではこうやってましたよ、というのを教えたことがあります。ドリフをやってきた先輩たちから受け継いだ僕がこのまま誰にも継承しなかったら、せっかくのノウハウが生かしきれないですから、『新しいカギ』が始まって、良かったなと思います。それは僕だけじゃなく、衣装さん、持道具さん、メイクさんもみんなそうです。『新しいカギ』は、大道具さんの会社が志村さんの番組と同じなので、社内でも受け継がれていると思います」
さらに、「志村さんが亡くなられたのが急だったので、このまま終わってしまうのかと心配になったのですが、今回のドラマや、先日の『ドリフに大挑戦』(9月26日放送)でも若いスタッフが入ってきたので、そこからまた次の世代につなげていってほしいですね」と、さらなる継承に期待を示した。