■『奪い愛、高校教師』ぶっ飛んだ役を振り切って熱演

壁を作らないことで視野も広がった。面白いと思える役もどんどん舞い込んできた。連続ドラマ30年連続主演という節目となった『奪い愛、高校教師』も自身の可能性を大きく広げるような個性的な役柄だ。

観月が演じるのは看護師の星野露子。仕事の関係で新しく引っ越してきた街で、偶然出会った女子高の音楽教師・冬野三太(大谷亮平)と出会い、激しい愛の扉を開くことになる。「とても人気のあるシリーズにお声がけをいただけたことがとても嬉しかったです。(脚本を手掛ける)鈴木おさむさんともお仕事をしてみたいと思っていましたので、まだどんな役か分からない段階でしたが、ぜひやりたいと思いました」とオファーを受けたときの印象を述べる。

「とにかくぶっ飛んだ役です」と聞かされていた観月。一番良くないのは“中途半端”になることと意識し「振り切った感じでやろう」と気合を入れて臨んだ。一方で、10~11話ある連続ドラマと違い、本作は4話、ぶっ飛んでいく変化を短い時間で違和感なく表現するため、いつも以上にキャラクターの背景を丁寧にイメージした。「露子さんに関しては、かなり裏設定を考え、現場で監督さんと相談しながら、役を立体的に演じていきました」と語る。

また演じた露子という女性に対して「妄想力と依存心が強い女性なんだろうなと思いました。でも序盤はピュアで真面目な女性という佇まいもある。だんだんと暴走していくさまを演じるうえで、ある意味で第1話での露子さんと、3~4話では別人だなという感じで演じていました」と役へのアプローチ方法を語っていた。

■「女優という仕事をずっと続けていくかは分からない」

2021年のラストに、巡り会ったドラマ『奪い愛、高校教師』で、観月は連続ドラマ30年連続主演という偉業を達成した。しかし観月は「この先女優という仕事をずっと続けていくか分からないです」とあっけらかんと笑う。

続けて観月は「いま仕事はすごく楽しいし、こういった刺激的な役にも巡り会えました。もちろん『観月さんに』と声をかけていただけるなら、このまま続けていきたいという気持ちはありますが、未来は分からないですからね。もしかしたら、違う職業の方が向いているかもしれない。人生なにがあるか分からないから面白い」と語る。

まさに30代半ばで気づいた固定観念にとらわれない生き方を、いまなお継続している観月。「“自分を決めつけない”という感覚で生きていく方が、いろいろなことにチャレンジできて楽しいんです」とまだまだ好奇心は尽きないようだ。

■観月ありさ
1976年12月5日生まれ、東京都出身。子役モデルとして活動し、1988年に『教師びんびん物語II』(フジテレビ)で連続ドラマ初出演、1991年に『超少女REIKO』で映画初主演。同年、「伝説の少女」で歌手デビューも果たし、日本レコード大賞新人賞を受賞。1992年に『放課後』(フジテレビ)で連続ドラマ初主演を務め、2021年のABEMA・テレビ朝日共同制作ドラマ『奪い愛、高校教師』で30年連続連ドラ主演という偉業を成し遂げた。

衣装協力:アオイワナカ、グロッセ・ジャパン、ランバン コレクション(モーダ・クレア)