1999年に崔洋一監督の『豚の報い』で映画初出演、初主演でデビューを果たした小澤。「もともとは監督志望だった」そうだが、芝居を認めてもらえたことをきっかけに俳優としての道を歩み始めたという。「大学時代にボストンに1年間留学をして、映画を撮る勉強もしていました。その流れで芝居のクラスにも入っていたんですが、そこでは“自分で選んだ題材で芝居をする”というテストがあって。発表が終わった後に、先生が『ワンダフル!』と声をかけてくれたんです。自分がやったことを見てくれて、認めてもらえるというのはとてもうれしいことだなと思いました」。

俳優業に励む中、憧れるような先輩との出会いもあった。小澤は「僕のことを“征悦(ゆきよし)“と呼んでくれるのって、緒形拳さんと佐藤浩市さんのお二方くらいなんですが、そのお二人は本当に役者としてもすばらしいし、人としても尊敬している方です」としみじみ。

「緒形さんからかけてもらったもので、忘れられない言葉があって。『お前は芝居が下手なところがいい。だからそのまま下手でいてくれ。下手というのは、小手先で芝居をするなということ。心で芝居をしている、その不器用な感じがすごくいい』と言ってくださった。心で伝えられる芝居こそ、普遍的なものだと僕は信じています。僕も40代後半にもなって、先輩からいただいたものを下の世代にもつなげていきたいなと感じています」と話していた。

■小澤征悦
1974年6月6日、カリフォルニア州出身。1999年に崔洋一監督の『豚の報い』で映画初出演、初主演でデビュー。その後、ドラマ、舞台と多くの作品で幅広く活躍し、2003年にはエランドール賞の新人賞を受賞する。映画は『JUKAI -樹海-』(2016)、ドラマでは『クリミナル・マインド 国際捜査班』、『S.W.A.T. 』など海外作品の出演も多数。朝の情報番組『スッキリ』にコメンテーターとして出演中。待機作として2022年1月スタートの木曜ドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日)、3月18日公開予定の映画『KAPPEI』がある。