• オズワルド (C)M-1グランプリ事務局

そんな中、レースを大きく動かしたのが6組目のオズワルドだった。3年連続決勝出場で、優勝候補の大本命との呼び声も高かった彼らは、もともと得意としていた飄々とした漫才に絶妙な緩急を加え、バージョンアップさせたネタで勝負。後半に向けてグイグイと引き込まれる巧みなネタ運びは、「漫才師のあこがれる話芸」と惜しみない賛辞を送る塙など審査員たちをうならせ、665点の高得点をマーク。オズワルドは一気にトップに躍り出た。

  • ロングコートダディ (C)M1グランプリ事務局

そして7組目はロングコートダディ。昨年の『キングオブコント』決勝に出場するなど、コント師としても評価の高い彼らは、表情の変化やユーモラスな動きなどの演技力を遺憾なく発揮する漫才を披露。649点で2位に滑り込んだ。

  • 錦鯉 (C)M-1グランプリ事務局

ファーストステージもあと残すところ3組。1位にオズワルド、2位にロングコートダディ、3位に同率のユニバースと真空ジェシカが並ぶ大混戦が続く中、8組目に登場したのは、昨年に続いて決勝の舞台に立った錦鯉。今年50歳を迎え、愛すべきおバカキャラにますます磨きがかかる長谷川雅紀が、50代の自虐ネタをまき散らしながら暴走する姿には、巨人も「50歳で進化することってあるんやな」と感動。655点の高得点で2位につける大健闘を見せた。

  • インディアンス (C)M-1グランプリ事務局

続く9組目で3度目の決勝となるインディアンスも、田渕章裕の明るい小ボケが止まらないパワフル漫才で同じく655点を獲得し、同率2位に。

  • もも (C)M-1グランプリ事務局

10組目のももは、結成4年の若手とは思えない安定したしゃべくりで評価されるも、654点と惜しくもベスト3には届かなかった。

■審査員席のサンド富澤、ナイツ塙も涙

こうして迎えた最終決戦は、オズワルド、錦鯉、インディアンスの3組による戦いに。ファーストステージで、大ベテランの巨人も「もう直すところないんちゃう?」とネタの完成度に舌を巻いたオズワルドがこのまま優勝を決めるかと思いきや、ここで最年長の錦鯉がドラマを作った。

“逃げたサルを捕まえる”という設定で、全力で叫び、舞台狭しと暴れる長谷川。渡辺隆のツッコミも徐々に熱を帯びていき、最後に長谷川が放った予想外の“ボケ”には、不思議な悲哀と漫才に人生をかけてきた生き様がにじみ出しているように見えた。

そんな2人が放つ、唯一無二の“すごみ”が漫才レジェンドたちの心を揺さぶったのか、審査員投票では7票中5票を獲得し、ぶっちぎりの優勝を決めた錦鯉。男泣きする長谷川と渡辺はもちろん、審査員席でたまらず涙を拭っていた富澤、塙の姿も印象的だった。

  • (C)M-1グランプリ事務局

  • (C)M-1グランプリ事務局