いまどきのスマホとして、カメラ機能をそれほどアピールしていないのも特徴的です。メインカメラはF1.8のシングルレンズで、有効画素数4,800万画素のセンサーを搭載。4つのピクセルを1つのピクセルとして扱うことで、大きなピクセルピッチにして撮影します。そのため、記録画素数は1,200万画素になり、4,800万画素での撮影はできないようです。フロントカメラは約800万画素のF2.0となります。

  • シンプルにカメラは1つだけ。本体サイズからくるスペースの問題もあるでしょうが、こうした割り切りは難しいものなので、見方を変えれば英断とも言えます

UIもシンプルで、基本的にシャッターボタンを押すだけ。料理・人物・夜景という3つのモード、ムービー撮影機能も用意されています。画像処理はそれほど高速ではないので、キビキビと撮影できるというほどではありません。

  • シンプルにシャッターボタンのみ

  • モード切り替えなど多少の設定は可能です

【動画】動作はあまり高速ではなく、連写は難しい印象です。特に料理モードと人物モードは画像処理が入るため、さらに記録時間が長くなります(音声が流れます。ご注意ください)

スタンスとしては一昔前のiPhoneと同様に、細かいことは考えずにメモ的にカメラを撮影する用途向けと言えそうです。

  • ややシャープネスが強めですが標準的な写りで、通常の用途では問題なさそう

  • 質感も良く、ハマったときはまったく問題ない描写です

  • 柔らかな本体デザインに比べると、描写は堅め。もう少し柔らかい描写だと良かったかもしれません

  • 細部の描写も良好

  • プラス補正してますが、色彩豊かでまずまず

  • 背景ボケも自然

  • 通常の撮影では色味も問題なさそうです

描写は通常の撮影では特に問題なく、十分な写りをします。料理モードにすると彩度を高めて暗部を持ち上げるような処理をしているようで、より色が派手に出ます。シーンによっては料理以外でも料理モードを使って良さそうです。

  • 赤が中心の場合に色が濃く出過ぎる印象です

料理モードの色被りとアップデートの効果は?

照明によっては料理モードで青被りが発生することがあったようです。彩度を高めることで照明に含まれる青が強調されてしまうせいかもしれません。特に青の色被りは食事の写真としてはイメージが良くないため、注意が必要です。12月13日にアップデートがアナウンスされ、「色再現性の向上」という修正が提供されました。

  • アップデート前の標準モードで撮影

  • アップデート前に料理モードで撮影。やや青被りが発生しています

改めて、アップデート前後(発売直後のバージョン「1.001MI」とアップデート後のバージョン「1.020MI」)のBALMUDA Phoneで検証したところ、ホワイトバランスにクセがあり、色が転ぶことが多いようです。被写体に向けたときに色がおかしかった場合、カメラを別の被写体に向けてホワイトバランスを切り替えて、改めて料理に向けると、青被りが解消されることがありました。

  • アップデート前のBALMUDA Phoneで撮影。料理にBALMUDA Phoneを向けてカメラを起動すると、この色に

  • そのまま料理モードに切り替えると、彩度は上がりましたが、色の傾向は変わらず

  • カメラを料理以外に向けて、料理に戻したところ、ホワイトバランスが変化せず、照明の色温度を残した色合いに。ただし、黄色が強調されています

  • アップデート後のカメラ。同じように向けたつもりですが、標準モードではくすんだ印象になりました。起動直後から青被りはしていません

  • 料理モードに変えたところ、照明の色が強調されてはいますが、彩度が高くなって見栄えは良くなりました。黄色被りもアップデート前ほどではないようです

アップデート後では、同じように撮影しても青被りはせず、黄色被りも抑えられているように見えます。基本的に彩度を高めて暗部を持ち上げるという手法は変わらないので、料理の中でも最適な被写体とそうでない被写体はあるでしょう。

特に蛍光灯下で緑の被写体を狙うと、色被りを除こうとして逆に周辺に紫が出てしまう現象もありました。これはアップデート後でも発生しており、まだまだ調整すべきところはありそうです。こういうのはAIが生きてくる場面ですが、BALMUDA PhoneのSoC(Snapdragon 765)の性能では難しい処理かもしれません。今後の開発に期待です。

  • 例えばこれはPixel 6 Proの画像。ややイエローが残っていますが、正しい色再現でしょう

  • こちらはBALMUDA Phoneのアップデート後。補正しすぎて紫が出てしまっています

  • 標準モードだと、さらに紫が強く出ています

シングルカメラでシンプルな設計というのは、BALMUDA Phoneの立ち位置としても理解できます。難しいことは考えないで使えるというスタンスは、分からなくもありません。個人的には、「実はそれでいて高画質」と言えれば、もう少し格好良かったと思うのですが、実際の描写としてはそこまでではないというのが率直な感想です。