――『#っぽいウタ』で取材に応じられたとき、「自分たちっぽいな」と思う芸人さんにオズワルドさんを挙げていましたが、『M-1グランプリ2021』で見事決勝進出されました。
矢作:最初は“っぽい”という入り口で始まったと思うんですけど、準々決勝のネタ見たら全然っぽくなかったです(笑)
小木:やっぱり優勝できないなって思ったんでしょ。俺らっぽくなると(笑)
矢作:あいつら優勝狙ってますから、本当に巣立っていった感じですね。ちゃんとドッカーンくるようなリズムとか、声の張り方とか、爆笑を畳み掛けるようなね。本当に優勝狙ってるネタになってたので、もう全然っぽくないということは言っておきたいです(笑)
小木:声もすごい出てるしね。
矢作:みんなそうなんです。最初は“っぽい”ところから始まるんですけど、やっぱ途中で気づくんです。俺らっぽいうちはもうダメだってことに(笑)
――事務所の後輩で、真空ジェシカさんも決勝進出を決めました。
小木:すごいですよね、人力舎で『M-1』の決勝に出れるなんて。
矢作:すごいよー。今決勝残るなんて本当にすごいことですからね。俺らはエントリーすりゃ行けたくらいだから(笑)
(一同笑い)
小木:そんな感じだったんですよ。今は準々決勝まで行くのがすごいんだから。準決勝行ったらそれだけで箔がつくし。
矢作:もう違う大会ですからね。俺たちはそういうもんだと思ってなかったから、本番10分前にネタ変えちゃうくらいのリラックス感があった。コントでしかやったことないネタを漫才に急に変えてやっちゃうくらいのノリでやってましたからね。今の人たちは1年かけて作ってきて、「さぁそうぞ!」っていう感じですから、もうレベルが違うんですよ。すごい尊敬してる、真空ジェシカも。
――10分前にネタ変えるってすごいですね(笑)
矢作:だってそんな大した大会じゃないと思ってたから(笑)
小木:よく分かってないし。だから終わってみたら、1分くらい短かったんだよね。尺計ってないから。
矢作:5分やんなきゃいけないのに4分で終わっちゃって(笑)。もうレベルが違いますから、僕らに『M-1』のことなんて聞いても意味ないですよ。
■テンポの速い漫才は「恥ずかしい」
――“M-1っぽいネタ”を作ろうと思ったことはないんですか?
矢作:1回思ったことはあるよね。『M-1』見てたら“M-1っぽいネタ”作りたくなっちゃって。ボケを詰め込んでテンポ速くしたりとか。でも無理だね。速くしゃべれない。
小木:あのテンポ感ね。1回やってみたら難しかったんだよね。
矢作:恥ずかしいしね。
小木:速いテンポって恥ずかしいんですよ。
矢作:リズムが気持ちいいテンポってあるじゃないですか。あれ恥ずかしくないですか(笑)? 一生懸命練習したんだな…と思われるのが恥ずかしいんですよね。“練習を人前でしない”っていう美学はずっと持ってますからね。でも、最近のネタ番組は(メイキングの)カメラが追ってくるの。こっちは本番直前まで練習したいんだけど、カメラが来ると練習してるとこ見られたくないから、「っへっへえ~」とかボケちゃったりして。だから全然練習させてくれないの。本当にあれやめてほしいんですよね。
小木:だから本番うまくいかないんだよ。練習させてくれないから。