人物が変化していくというのは、ストーリーと同じぐらい作品のテーマとして据えられることが多く、とても重要だ。やり過ぎればしらけてしまうし、視聴者が変化したことに感情移入できなければ意味がない。現在放送中のドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』では、坂口演じる百瀬の美晴への思いが、どのように明葉に変わっていくのか……が大きな鍵になってくる。

11月23日放送の第6話で、百瀬は相変わらず美晴への思いを“断ち切りたくないモード”でいたが、明葉を親友と呼ぶ唯斗(高杉真宙)のちょっかいによって変化が生じてきた。これまで明葉に対して散々使ってきた「友達として」という言葉を発したあとの微妙な間や視線の送り方に変化を感じた。

その直後にキスシーンも登場するなど、今後柊が変化していくことを暗示させる回だった。約半年もの時間をかけてゆっくり関係性を築いてきた『おかえりモネ』での百音&菅波ほどの時間はないが、残り半分で、どこまで丁寧にゆっくりと坂口らしいスパイスの振りかけ方で、百瀬を変化させていくのか――興味は尽きない。

以前のインタビューで「ゴールに向かって一直線で進むよりも、そのときのタイミングで寄り道したり、回り道してたどり着いたりした方が深いのかも」と自身の俳優人生を語っていた坂口。演じるキャラクターも、あまり終着点を決めず、その場で対峙する相手によって変化していく――坂口の生きざまが役にも投影しているのかもしれない。

(C)TBS