作家・原田マハの美術小説「『異邦人(いりびと)』」(PHP文芸文庫)をWOWOWが完全ドラマ化した『連続ドラマW いりびと-異邦人- 』毎週日曜 22:00~放送・配信 全5話 ※第1話無料放送)でWOWOWドラマ初主演を務める高畑充希にインタビュー。希代の美術収集家の孫娘にして美術館の副館長でもある篁菜穂を演じた高畑に、撮影の裏話や舞台となる京都の街や人に対する印象、「自分にはない才能」への嫉妬心、“俳優・高畑充希の現在地”などについて聞いた。
――オファーを受けたときの心境は?
原作小説を先に読んでいたこともあって、「すごく難しい題材を扱ったこの小説の面白さを、どうすればドラマの映像に落とし込めるんだろう?」と、ドキドキしながら現場に入りました。この作品の世界って、なかなか言葉で説明しづらいというか、よくわからない緊張感がだんだんと高まっていくお話なので。どんなドラマになるのか正直あまり想像がつかず、霞を掴むような感覚でした。
――篁菜穂という女性を演じるにあたり、どのようなことを感じましたか?
始めは菜穂がどんな女性なのかはっきりとはイメージが掴めなかったので、現場で監督と相談しながらワンシーンずつキャラクターを形作っていきました。菜穂は周りの人とコミュニケーションが取れているようで取れていないというか。常に絵のことしか考えていないような人なんです。
――菜穂とご自身が重なる部分もありました?
実は、私自身すぐ何かに夢中になったり、妄想したりすることが多くて。外の世界とちゃんとコンタクトが取れていないというか、会話が成立しているようで成立していない瞬間が、結構あったりもするんです。昔に比べたらだいぶマシにはなりましたけど、「充希は何を考えているのかわからない」って、友だちから言われることもあったり(笑)。菜穂の「誰かと一緒にいるようで、いない瞬間」みたいなものは、自分でもちょっとわかるような気がしました。
――割と自分だけの世界に入ってしまうタイプなんですね?
そうですね。仕事でもプライベートでも、自分の世界に籠って楽しんでしまっているところがあるのかもしれません。でも、年々お仕事でいろいろな方たちと関わるなかで、あまり独りの世界には入らずに、もっとちゃんと周りの人と話そうと思うようになりました(笑)。
――風間俊介さんや、SUMIREさんとの共演はいかがでしたか?
風間さんはとにかく現場を盛り上げてくださるムードメーカー的な方でした。私は役柄的にも特に序盤はずっと胸の内に重たいものを抱えているというか、どんよりした気持ちでいることが多くて、なかなかみんなをパーっと盛り上げることができなかったので、そこはもう風間さんに「お願いします!」ってすっかりお任せで、助けていただきました。東京パートと京都パートは別々の世界線だったので、意外と夫婦一緒のシーンは少なくて。
風間さんとは、ピリピリしたシーンをよく撮影してましたね(笑)。夫婦でありながら、関係がだんだんいびつになっていくというのはこれまであまり経験したことがなかったので、新鮮な気持ちで取り組みました。SUMIREちゃん扮する樹さんは、独特な空気をまとっている役だったのですが、彼女はものすごく目が綺麗で、その目に助けられた部分もありますね。本人は割と体育会系というか、少年みたいな雰囲気の方なんです。主に樹のアトリエや京セラ美術館、京都国立博物館、渡月橋や貴船の川床などのシーンでご一緒させていただきました。京都は街そのものがアートみたいなところがあって、すごく面白かったです。