――『仮面ライダーBLACK』をベースにしつつ、さらに高いところへと飛んでいこうとされる意欲が感じられて頼もしいですね。

高みを目指したいというより、白石監督がこれから生み出そうとしているキャラクターの「基準」みたいなものがあります。それに合わせたものをお出ししないとズレが生じるんじゃないかと思ったんです。

リアルな描写をするにあたっては、それなりの皮膚感覚のあるキャラクターでないといけない。そういうものだと思います。シナリオに書かれている映画のリアリティと、具体的なデザインのリアリティがズレてはいけないんです。

ヒーローに怪人が倒されたときの「痛み」だとか、勝ったヒーローにも「痛み」が伴うとか、そういう感覚がどうしても必要になんじゃないかと思い、そんな要素をデザインに盛り込むという使命感を持ってやっています。

――仮面ライダーBLACK SUNのデザインが決定したときのご感想を聞かせてください。

基本の発想は「バッタが人間になったら」というものです。でもそれは、僕らが改めて何かを生み出そうとして考えたというよりも、もっと昔から石ノ森先生の頭の中にあった要素なんですよね。我々は、過去に存在したものの中からよい部分を抽出して、形にする作業を行ったまでです。

――先ほどの「洗練された工業デザイン」については、ライダーの変身ベルトのデザインにも顕著ですね。

変身ベルトは外見はもちろん、ギミック(動作)もすごいんですよ。すでに作動確認のできるサンプルが到着していて、バンダイ驚異のメカニズムを目の当たりにさせていただきました。こういった商品展開におけるアイデアと、それを実現させるギミックについては「今はこんなことができるの!?」って、存じ上げないことばかりですから。もう「スゲー!」という言葉しか出てきません(笑)。

――『仮面ライダーBLACK SUN』には『仮面ライダーBLACK』のキャラクターやマシンはどこまで出てくるのでしょうか。

剣聖ビルゲニアとか、バトルホッパー、ロードセクターなども、デザインをリニューアルして登場させることになっています。それは今回の作品が『仮面ライダーBLACK』でやろうとしたこと、やっていたこと、やりたかったことをすべて見つめ直して、もともと入れていた要素を極力「外さない」という意識でいるからなんです。

――仮面ライダーBLACK(ブラックサン)と同じ世紀王として生まれ、次期創世王の座をかけて戦う運命にある仮面ライダーSHADOWMOONの登場にも、強い期待が寄せられています。かつての『仮面ライダーBLACK』では、黒い仮面ライダー(ブラックサン)と銀色に輝くメカニカルなシャドームーンとの対比が強烈な印象を残していました。今回もシャドームーンのボディカラーは「銀」で行く方向ですか?

現段階では秘密です! でも、世紀王というのは同じ姿をしていて、どっちが創世王になるかという話ですから、本来シャドームーンはメカっぽい姿であってはいけないと思うんですね。

先ほど言ったように、仮面ライダーがなぜバッタなのか?という問題を突き詰めたのと同じく、なぜシャドームーンは銀色なのか?という部分の理由づけも、PLEX小林さんたちと一緒に突き詰めて作っていきました。新しいデザインではありますが、昔のシャドームーンの持つイメージも大事にしたいですからね。

――仮面ライダーBLACK SUNが戦う「怪人」についてはいかがでしょうか。『仮面ライダーBLACK』では、製作初期から大量のゴルゴム怪人が製作され、どれも生物感に満ちた精密な造形で、野獣の持つ凶暴さ、怖さが強められていました。

それはもう、どえらいプレッシャーを感じていますよ。『仮面ライダーBLACK』の怪人造形は一体一体の「リアリズム」と圧倒的な「物量」が、本当にすごかったですからね。とんでもないことを当時はやっていたんだなと思いますし、だからこそ多くの人たちの心に刺さっているんでしょうね。

『仮面ライダーBLACK SUN』では、クラウドファンディングでみなさまからのご支援を募って、ゴルゴム怪人を一体でも多く生み出して作品に反映させてみたいと考えています。我こそは……と思われる方は、ぜひご支援してくださるとありがたいですね。

――クラウドファンディングでは、「怪人になれる権利」のほか、「エキストラ参加権」や「仮面ライダーBLACK テレビパワーDX変身ベルト」「仮面ライダーBLACK SUNプロダクションノート」が得られるなど、さまざまなコースが設定されていて、仮面ライダーファンの興奮を高めますね。最後に、『仮面ライダーBLACK SUN』を応援しているファンの方々に、樋口さんから一言メッセージをお願いします。

ものすごい作品になるはず。みなさん楽しみにしていてください!

(C)石森プロ・ADK EM・東映