2011年に放送されたスーパー戦隊シリーズ第35作『海賊戦隊ゴーカイジャー』の10周年を記念した東映Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』が、2021年11月12日より期間限定上映される。
『海賊戦隊ゴーカイジャー』は、「宇宙最大のお宝」を求めて地球にやってきた若き宇宙海賊が、全宇宙の支配を目論む強大な宇宙帝国ザンギャックに戦いを挑む物語。
ゴーカイジャーは『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)から『天装戦隊ゴセイジャー』(2010年)までの34スーパー戦隊の力が秘められた「レンジャーキー」を使って、さまざまなヒーローに「豪快チェンジ」するのが特徴。ゴーカイレッド/キャプテン・マーベラスのもとに集まった4人の個性的な仲間は、お宝のためにザンギャックと戦っていると言いながら、結果的に地球の人々を救うヒーロー的な活躍を見せる。途中、スーパー戦隊に限りない愛情とリスペクトを捧げる熱き心の持ち主・伊狩鎧が仲間に加わり、歴代「追加戦士」の力を使って戦うゴーカイシルバーとなり、大暴れしている。
あれから10年の歳月が流れ、愛すべき宇宙海賊たちの新しい戦いを描いたのが、今回の『テン・ゴーカイジャー』である。歴代スーパー戦隊ヒーロー同士が戦う公営ギャンブル「スーパー戦隊ダービーコロッセオ」に熱狂する地球の人々。かつてのヒーローたちは「賭け」の対象となってしまったが、収益が地球の防衛費に充てられるとあって、歴代スーパー戦隊のレジェンドたちも主旨を理解し、このプロジェクトに協力していた。しかし唯一、運営サイドがコンタクトをとれないスーパー戦隊があった。すでに「解散」した彼らは、いまではバラバラに活動していた。そんな中、あのキャプテン・マーベラスが地球に出現。運営サイドに挑戦状を叩きつける。マーベラスの前に立ちふさがったのは、「スーパー戦隊ダービーコロッセオ」の主旨に賛同する伊狩鎧だった――。
ここでは、ゴーカイジャーのリーダー格キャプテン・マーベラスを演じた小澤亮太にインタビューを敢行。テレビシリーズから10年を経て実現した「新作」にかける意気込みや、久々に結集した仲間たちへの思いを聞いた。
――歴代スーパー戦隊に「豪快チェンジ」するゴーカイジャーは放送当時から人気が高かった上、放送終了後も『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(2012年)『特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE』(2013年)、そしてスーパー戦隊シリーズ通算2000回を記念した『動物戦隊ジュウオウジャー』の 第28・29話に登場しました。また、ゴーカイレッド/マーベラスとゴーカイイエロー/ルカは『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』(2019年)での活躍が記憶に新しいです。そんな中、10周年記念作品が作られたことに対しての、率直な思いからお聞かせください。
ヒーロー集合映画や、他のシリーズにゲストで出るのではなく、ゴーカイジャーの6人が主体となったお話をしっかりやることができる。それはもう、うれしかったですよ。
今年に入って「ゴーカイジャーも10周年だから、そろそろ新作やるかも」という話自体は聞いていたのですが、あいにくのコロナ禍ですし、本当にできるのか、心配なところがありました。でも、世の中が大きな不安に包まれている今だからこそ、ゴーカイジャーが復活して大暴れする作品を作りたい、と思っていたんです。
もともと『ゴーカイジャー』のテレビシリーズが始まってすぐ東日本大震災が起きて、大変な状況の中で人々の「絆」が見直されました。厳しい状況にあるみなさんがテレビや映画をご覧になり、精神的にプラスとなるような物語を届けたいという思いが、あのころもありました。
今回の作品も同じで、ゴーカイジャー6人の「絆」が再確認され、メンバーが互いに助け合うとはどういうことなのか、が丁寧に描かれています。まさに、こういう時期だからこそ必要な作品なのではないか……と思いながら撮影に取り組んでいました。
――発表された予告編映像では、ゴーカイジャーの本拠であり、巨大ロボ・ゴーカイオーに変形・合体する「ゴーカイガレオン」が大破している上、みなバラバラで行動するゴーカイジャーというショッキングなビジュアルがファンから注目を集めました。マーベラスもダークな衣装と眼帯を身に着け、以前よりも「歴戦の海賊」っぽい雰囲気が増していましたね。
最初、衣装合わせに行ったとき思いました。「あれ、いつもの赤い衣装じゃない」って(笑)。新しい衣装をどれにするか、いくつか並べられたのを見たとき、どれも高級感があってすごくカッコいいな、おしゃれだなと感じていました。
――『スーパー戦隊最強バトル』以来、3年ぶりにマーベラスを演じられた感想はいかがですか。
『最強バトル』のときは坂本浩一監督で、今回の『テン・ゴーカイジャー』は中澤祥次郎監督の作品です。テレビシリーズのときも数人の監督でローテーションが組まれていたのですが、監督が違うと僕たち俳優が求められる演技の内容も変わってきて、まったく違う雰囲気になりますね。こういう風にしてほしいという注文の仕方も違っていて、それがよかった。3年前とはまた違った気持ちで作品に入り込むことができました。
――中澤監督は『ゴーカイジャー』テレビシリーズではパイロット(第1、2話)を務めて、作品世界の基礎を作り上げた方なんですね。中澤監督とは撮影現場でどんなお話をされましたか。
マーベラスがセリフを言うところで、中澤監督から「もっとゆっくりでいいよ」とよく言われました。マーベラスの大物感というか、どっしりした感じを出したかったんじゃないかと思います。でも、これまでに出演したドラマなどでは、マーベラスほどゆっくりと間を取りながらしゃべる役柄がなかなかなくて、久々に演じたときはちょっととまどいました。セリフを言いながら「そうだった、そうだった」とマーベラスを思い出しながら演技をしていたんです。
――『テン・ゴーカイジャー』では、テレビシリーズの初期エピソードと何やらリンクするかのようなシーンがあるとうかがいました。改めて、10年前のテレビシリーズ第1話、第2話などを観返されたときの感想を聞かせてください。
何しろ10年ですから、今と比べるとかなり違うなと感じます。髪の毛のハネ具合もそうとうなものでしたし、何よりも若い(笑)。仲間の5人も、みんな若いなあ~ってやっぱり思いますね。もう画面からフレッシュさがにじみ出ていました。今回は、みんなフレッシュさこそありませんが(笑)。10年たったぶん、経験を重ねた大人になった姿が見られるのではないでしょうか。そういう意味では、マーベラスという男は自分が年齢を重ねた今でもしっかりと演じられる役柄だなと、しみじみ思いました。
――他のゴーカイジャーのみなさん(山田裕貴、市道真央、清水一希、小池唯、池田純矢)もそれぞれ大人っぽくイメチェンされていて、以前とは違った雰囲気でマーベラスに接しているような印象です。今回の共演について、どのような思いを抱かれましたか。
みんなと直接会うのは久しぶりですが、『ゴーカイジャー』のグループLINEで全員つながっていて、誰かの誕生日が来ると必ず誰かが「おめでとう!」と発言し、みんなが続いていくみたいなところがあります。そんなこともあって、久しぶりという感覚はありませんでした。
ずっと会ってなくても近況は聞いている、兄妹みたいな感覚なんです。でもみんな面と向かって話をすると、中身こそ変わっていませんが、ふとしたところで「大人になったなあ」と実感したこともあります。若いころは、僕も含めて喜怒哀楽がぜんぶ表に出てしまうので、時には感情をぶつけあうこともありました。1年間ずっと一緒にいた仲間ですから、いいところも悪いところもすべて見えていた。でも今は、みんな落ち着いちゃって。ああ、大人だなって(笑)。
――『ゴーカイジャー』から10年の歳月が過ぎたと実感されたような出来事はありますか?
最近、ドラマや映画の現場でよく「昔ゴーカイジャー観てました!」なんて言われるようになったことですね。「君いくつ?」「20歳です」とか、あのころゴーカイジャーを観ていた子どもたちが10年経って撮影スタッフとか役者とかになっているのを知ると、それだけの年月が経ったんだなと実感します。