――今回、4Kリマスターで復活する『仮面ライダー』シリーズ劇場版ですが、佐々木さん、藤岡さんが共演した『仮面ライダー対ショッカー』、藤岡さん単独の『仮面ライダー対じごく大使』、そして宮内さんのV3と1号、2号がそろってデストロンと決戦を行う『仮面ライダーV3対デストロン怪人』の3作は、変身ブームが最高潮に盛り上がった時期の作品で、「東映まんがまつり」のメインプログラムとして子どもたちに大評判を取りました。出演されていたみなさんが、当時の仮面ライダーの大人気を実感したことはありましたか。

佐々木:劇場版があったというのは後になってから知った感じです。おそらく演じている当時は「これが映画だ」と聞いていたと思いますが、監督やカメラマンほか、スタッフは劇場版もテレビも同じ顔触れだったから、いつ映画を撮っていたのか、今となっては記憶が定かではないですね。

藤岡:『仮面ライダー対じごく大使』で富士山の麓に行ったというのは、なんとなく記憶にあるけれども、もはや50年前にどんな出来事があったのか、いろいろな思い出がごちゃまぜになっていますね。とにかく体を張って、この3人は常に大変な撮影をこなしていました。それが気がつけば日本全国の子どもたちから、ものすごい人気を集めていました。

宮内:「東映まんがまつり」には、すごい数の親子連れが劇場に来てくださったそうですが、直接『仮面ライダーV3』の人気ぶりを確かめたことはありません。撮影に追われて、映画館に行く時間なんて取れなかったからです(笑)。

――『仮面ライダー』放送開始から50年、『仮面ライダーV3』放送開始から48年を経た現在でも、こうして藤岡さん、佐々木さん、宮内さんがお元気な姿を見せてくださったのは、多くの仮面ライダーファンを感激させ、勇気づけていると思います。幅広い世代に広がっているファンのみなさまに向け、お一人ずつメッセージをいただけますでしょうか。

宮内:レジェンドといわれる我々3人が主演を務めた『仮面ライダー』『仮面ライダーV3』ですが、今やBlu-rayやDVD、映像配信などでいつでも、どなたでも観られる存在になりました。お父さんが昔好きだったヒーローとして、昭和『仮面ライダー』シリーズを子どもと一緒に観ることだってできますね。当時、僕は風見志郎をはじめとする特撮ヒーローを演じる際、子どもたちに「正義の心」「弱い者をいたわる優しさ」「悪を憎む勇気」を知ってほしいという気持ちを込めていました。子どもたちが心の底から憧れ、愛してくれるヒーローだからこそ、よい影響を与えることができればと思ったんです。その気持ちは、今のお子さんに対しても同じです。現在も新しい「仮面ライダー」が生み出されていますが、昭和の『仮面ライダー』シリーズもぜひ、ご家族みんなで楽しんでほしいです。

佐々木:『仮面ライダー』で一文字隼人をやっている当時は、正直言ってそれほど真剣に考えているわけではありませんでした。でも、あのとき『仮面ライダー』を好きでいてくれて、大人になった今でも応援してくれる人たちがいることは、本当にありがたいと思っています。それからですよ、『仮面ライダー』っていい番組だったんだなあとしみじみ感じるようになったのは。僕が昔、出演したドラマでは『お荷物小荷物』などのほうが大人向けで、ファン層も女学生が多かったからうれしかった(笑)。でも『お荷物小荷物』が好きだった人に会っても「昔ファンでした」なんて、「昔」がついちゃう。「今でもずっとファンです!」と言って、僕に会ったら涙まで流すような人がいてくれるのは『仮面ライダー』だけ。本当にうれしくて、感謝しています。

藤岡:『仮面ライダー』は50年前に誕生してから現在まで、幅広い世代の人々に観ていただき、語り継がれてきました。大人から子どもまでいろんな年齢の人がいても『仮面ライダー』の話題でみんながつながることができるというのは、すごいことですよね。『仮面ライダー』放送当時は家族でこんな話をしたとか、友だち同士で仮面ライダーごっこをしていたとか、いろいろな思い出を語り合える。仮面ライダーは日本が生み出した最高のヒーローだと思います。『仮面ライダー』で1号の私と2号の佐々木くん、そしてすばらしいキャスト、スタッフのみなさんが一丸となって良い作品を作ろうと頑張った。それらが積み重なって、宮内くんの『仮面ライダーV3』へと人気がつながったんです。歴史に残る偉大な作品に出演できたことに、改めて喜びを感じます。

仮面ライダー THE MOVIE 1972-1988 4KリマスターBOX(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc 4枚組)
2021年11月10日(水)発売  価格:22,000円(税込)
原作:石ノ森章太郎
発売元:東映ビデオ株式会社
販売元:東映株式会社

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