ハイブリッドワークのためのオフィスリノベーション
クラウドサーカスがオンライン営業への取り組みを始めたのは2017年ごろ。最初は少人数だったものが2018年4月に部署単位となり、最終的にはオンライン営業が基本になったそうだ。自社でもBowNowを活用しており、そこで得たノウハウはそのまま顧客への知見として提供されている。
だが、当初はオンラインか訪問か、社員が自由に選べる形だったため、まったくといっていいほど使われなかったという。その状況を変えたのがオンライン営業のルール化だ。『一部署でこの人は使う』、これによって利用者が増えたら『この部署は使う』とその範囲を広めていくことで社内へ浸透させていった。トップダウン、ボトムアップの両輪がうまくかみ合った例といえるだろう。
「当社はお子さんのいる女性社員も多く、コロナ禍以前からリモートワークを望む声がありました。そういった方たちが積極的にオンライン商談ツールやIP電話を活用してくれたことも大きかったと思います。『子どもが小学校に上がるので仕事ができなくなる』という社員もいたのですが、『家で働けるようになった』と喜びの声を聞きましたし、会社と従業員、お互いにとって良い企業文化ができたなと思います」
クラウドサーカスは9月末にオフィスリノベーションを行った。同社はオフィスワークとリモートワークのハイブリッド型勤務を実施しており、出社率は50%以下で従業員の半数は常に会社にいない。そんな従業員同士のコラボレーションを活性化させるための取り組みだ。
そのコンセプトは「サーカス」。フリーアドレスの発展型として提唱されている「ABW(Activity Based Working)」を基本としており、直感的に楽しく感じ取れるデザインと軽快にレイアウトを変更できることが特徴。
オフィスの中心には円形のステージ「サーカス」が用意されており、会議だけでなくウェビナーの収録や情報交換の場、そしてランチでの利用も可能。さらに音のグラディエーションを意識した音響設備、全社員が最適な場所で働くためのハイスペックなノートPCなども整備される予定となっている。
この新しいオフィスは、そもそもはじめから全社員が働ける広さでは作られておらず、いまのところ社員数が増えても増床の予定はないという。同社のハイブリッドワークへの考え方が凝縮されたオフィスといえるだろう。
橋口氏が入社2年目に営業成績1位を取れた理由
最後に、橋口氏自身の考えについて伺ってみたい。橋口氏にとって、営業活動がオンラインにシフトしたことはどのような影響を与えたのだろうか。
「僕が入社したのはちょうどオンライン営業が始まった2018年で、実は僕自身、訪問営業はしたことがありません。オンラインへのシフトは非常に良いことだと思っています。その後、入社2年目で営業成績トップを取れたのですが、これもオンラインだからです。他の社員が1件訪問営業する時間で、僕は3件営業できました。3倍の速度で活動できるわけで、これはオンラインの特権です」
一方でオンライン営業の難しさについても語る。
「営業は相手の一挙手一投足を感じ取って対応しなければなりませんが、オンラインではそういった情報があまり得られません。論理的にお客さまに納得していただけるよう、ちゃんと言葉で伝えなければならないのです。限られた情報の中でやりとりを行うことが、これからのビジネスパーソンには求められると思います」
そして最後に、若手のビジネスパーソンに向けてメッセージを送る。
「これからのビジネスではオンラインでのやりとりが基本になるでしょう。だからこそ営業力を付ける機会が増しますし、それこそ訪問営業の3倍以上の速度で成長できるのではないでしょうか。ぜひ楽しみながら取り組んでいって欲しいと思います」