成果発表会後には、各社のプロジェクトに相談にのったり、アドバイスを送ってきた、メンターの奈良先端科学技術大学院大学の3名の研究者が感想を語った。
奈良先端科学技術大学院大学 特任助教およびdTosh 代表取締役社長 平尾俊貴氏は「DXにおいて、組織を動かすことが難しいと実感した。課題を抽出して解決策を見つけても、現場に導入してオペレーションを行っていくところがなかなかうまくいなかい。DXも最後は人が動くので、社員、関係者、取引先に理解してもらうことが重要だ。DXでは技術にフォーカスするが、人、物、金が連動してやっていくことが体験できたことは良かった」と述べた。
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 助教 松田裕貴氏は「多くのプロジェクトでは、システム作りをゴールとして掲げていたが、なかなかすんなりはいかなかった。われわれは研究者として失敗を繰り返すことに慣れているが、企業のみさんは、なかなか進まないことに気持ちが空回りしていた。研究者とビジネスをやられている方との気持ちに違いがあり、難しいと感じた。ただ、やっていく中で、われわれからの提案だけでなく、みなさんのほうから自主的にやられることが多くなっていったので、メンタル面が変わっていったと感じた。試行錯誤をやっていく中では、メンタルチェンジが重要だ」と語った。
そして、奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 博士後期3年 (独)日本学術振興会 特別研究員DC1 伊藤健史氏は、「DXは過去の積み上げてきたビジネス上の資産を活かしながら、進めていくのが難しい。壁にぶつかってクラッシュしては元も子もないので、われわれはどう軟着陸するかを考えてきた。プロジェクトとして、どこをゴールにするのかを常に確認し、軌道修正しながらやっていくのが、一番大事だ」と述べた。
発表会の最後には、デル・テクノロジーズ 上席執行役員 広域営業統括本部長 瀧谷貴行氏は「通常業務をやりながらプロジェクト遂行は大変だった思う。われわれも大いに刺激を受けた。チームごとに成果はさまざまだったが、われわれとしても多くの気づきがあった。プロジェクトの結果だけでなく、活動の経験そのものが大きな成果だったと思う」と挨拶した。