――この2週間で、何が一番変わりましたか?
妻と育休をとって何が一番良かったかなって話し合ったんですが、子供の面倒を見ながら家事を回すことができるようになったので、夜決まった時間にお風呂に入れて、授乳して、寝かしつけるという生活のサイクルが整って、子供が今6時間くらい寝るようになったんですよ。それによって妻の睡眠もまとまった時間が確保できて、生活の基盤ができたのが大きかったです。
――奥様との時間というのも、今までよりできたのではないでしょうか。
はい。寝かしつけて9時くらいにリビングに戻ってきて、ベビーモニターで寝室の様子を見ながら2人で話したり、遅めの夜ご飯を食べたりする時間が、すごくかけがえのないものだということに気付かせてもらいました。忙しくはあるんですけど、自然と「今日、これがあってね」っていう会話も増えて、与えられた時間に感謝できるようになりましたし、何より妻への感謝の思いというのがすごく深まりました。それに尽きますね。
――改めて、育休を取られて良かったと実感されたんですね。
最初は、公に「2週間の育休を取ります」と言うことが、どんなメッセージになるのかと思っていたんです。「そんなの育休って言わないでしょ」という捉え方をされてしまうかもしれないとも思ったのですが、結果として「2週間でも絶対取ったほうがいい」と思いました。
――育休を取った後の過ごし方も変わってきますよね。
そうですね。また仕事が始まって、子供の服を取ってくること1つにしても、これまでは何がどこにあるのか分からなかったのが、すぐに取って渡せるようになりましたし、いろんなことが理解できるようになったので、「次はこれをやらなきゃいけない」と先を読んで、妻のストレスを少しでも減らせることができたかなと思います。「それじゃなくて、あれだよ」と言うのが、一番のストレスだと思うので。
――育休を経て、仕事の仕方で変わった部分はありますか?
8時間という会社にいる時間の大切さというのを感じるようになりました。今も育休のときと同じ決まった時間にお風呂に入れるというルーティーンを変わらずやっているので、『イット!』の生放送が終わって反省会が終わったら、これまではコーヒー1杯飲んでふーって一息ついていたんですが、今はすぐ帰っているんです。だから、出社してからいかに効率よく作業するか、夜作業できない分の時間をいかに捻出するかと意識が変わって、仕事の面にもすごく還元されました。
■育休取得を放送で報告して良かった
――「イクメン」と呼ばれることもあるかもしれませんが、それが当たり前の風潮にならなければいけないということですよね。
一歩一歩の戦いだとも思います。法制度ではどんどん育休を取りやすく整備されてきていると思いますが、まだまだ取りづらい環境もあると思うんです。それは、周りが「育休を取ることが当たり前」という空気感にならない限り、解消されていかないと思うんですよね。
――メディアでお仕事をされている身である榎並さんの育休は、1つのメッセージになったと思います。
微力ではあっても、1人でも多くの人に育休を取ることが大事だということが伝わればと思いますし、改めて育休を取るということを放送で報告して良かったと感じています。伝えていかなければいけない職業だと思うので、こうやって取材を受けさせていただけるのもありがたいです。
日々インスタに投稿していたのも、せっかく育休を取るんだから有意義なものにしないといけないし、きちんと発信しようと思ったのがきっかけでした。それが毎回のようにネットニュースとして取り上げていただき、男性が育休を取るということが一般的ではないんだなということを、すごく感じました。これが当たり前の世の中になっていかないといけないと思いました。
■尊い筋トレと疎遠に…「育児の体力は付いてきてるかな」
――インスタでは引き続き、お子さんとの日々を投稿されていて、ほっこりしています。
子供の成長日記みたいになっていますが(笑)、そこでの気付きもまたメッセージになればいいなと思っています。そんな大それたものじゃないですが、自分の日々のライフワークとして続けていこうと思います。
――これまでのライフワークだった筋トレの時間は、なかなか取れないですか?
体がしぼんでいく分、子供が膨らんでくれればいいなと思いますね(笑)。筋トレは筋トレで尊いことなんですが、自分の体のことを考える時間が全くなくなりました。でも、生きる質を高めていかなければいけないので、どうにか筋トレの時間も捻出していかなければというのは課題です。
――お子さんを抱っこして鍛えられる筋肉もあるのでは。
足腰は間違いなく鍛えられてます。「こんなに疲れるのかあ!」と思うので、育児の体力は付いてきているかなと思いますね(笑)
●榎並大二郎
1985年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、08年にフジテレビジョン入社。『スーパーニュース』『バイキング』『クイズ!金の正解!銀の正解!』『IPPONグランプリ』『KinKi Kidsのブンブブーン』(ナレーション)などを担当し、20年9月から『Live News イット!』メインキャスターを務める。