栄一とのマシンガントーク合戦については「基本的にあのシーンは最初から終わりまで一連を通しで撮っていたんです」とのこと。「それを何度もやったので、すごい緊張感があり、僕の必死さが出ていたと思います(苦笑)。やはり自分の演技がどうこうではなく、吉沢くん演じる栄一の心を動かすことができればと思い、そこだけに尽力しました。実際に栄一がどのように受け止めてくれたのかはわかりませんが、きっとお芝居に表れていたと思います」

大倉が演じた大隈は、ネットですでに好評を博しているが、大倉は恐いから感想コメントなどは見ないようにしていると言う。非常に評判がいいと伝えつつ、大隈を演じた手応えについて尋ねると「脚本の大森(美香)先生と、演出が僕を面白くしてくれただけの話というか、僕はただ台本どおり、言われたとおりにやっているだけなので」とあくまでも謙虚に受け止めている。

また、大隈の妻である綾子役の朝倉あきについて「朝倉さんのご両親が佐賀の方だそうで、現場で『大倉さんの台詞を聞いていると、懐かしい気持ちになります』と言ってもらいました」とうれしそうに語る。

「史実でも大隈は、綾子の手のひらで転がされていたような記述が残っています。大隈がどんなに頑固に意地を張っても、綾子に言われると、考え方をころっと変えていたそうです。朝倉さんも一緒にお仕事させてもらい、そういう安心感のある雰囲気やお声を持っている方だなと感じました」

それにしても、濃いキャラクターたちが多数登場する明治編だが、特に印象深いキャストについて聞くと「やっぱり現場を沸かせていると言う意味では、イッセー尾形さんかと」と、三井組番頭の三野村利左衛門役のイッセー尾形の名前を挙げ、「いろんなタイプの芝居をなさるので、驚きが多いです。突然、全然違うことをされることもあって、刺激にもなりますし、勉強にもなります」と語った。

最後に、今後の大隈の見どころについて「歴史に詳しい方ならご存知かもしれませんが、上ったり下ったりと、いろんなことがありますし、良い部分だけではなく良くない部分も描かれていきます。渋沢との言い合いは、恒例のように今後も出てくるので、そこを引き続きみなさんに楽しんでもらえたらいいかなと思います」とアピールした大倉。今後の山あり谷ありの大隈劇場を楽しみつつ、次なる渋沢との舌戦も心待ちにしたい。

■大倉孝二
1974年7月18日生まれ、東京都出身。1995年に劇団ナイロン100℃に入団後、個性派俳優として舞台や映画、ドラマなどで活躍。近年の主な出演作に、映画『ロマンスドール』(20)、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(21)など、ドラマは『伝説のお母さん』(20/NHK)、『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日/20)、『神様のカルテ』(テレビ東京/21)など。NHKの大河ドラマは『新選組!』(04)に続いて2回目の出演となった。11月より主演舞台『イモンドの勝負』(本多劇場)を控えている。

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