吉沢亮主演の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で、第8・17代の内閣総理大臣を務め、早稲田大学の創設者としても知られる大隈重信を演じている大倉孝二。『新選組!』(04)に続いて2回目の大河ドラマ出演となる本作で、渋沢栄一役の吉沢亮と丁々発止のやりとりを披露するなど存在感を放っている。大倉は大隈役にどう向き合っているのか、その舞台裏について話を聞いた。
大隈役を演じるにあたり、大きなプレッシャーを感じていたという大倉。「実在の人物ということで、やはり何か問題があってはいけないと思いました。史実に基づいたフィクションであるにしろ、大隈重信さんに対してはいろんな思い入れがある方々がいらっしゃるので、私なんかに務まるのだろうかとマネージャーに相談しました」
とはいえ、正式に決定してからは「台本に書かれていることに全力で取り組む」というスタンスで臨んでいった。もちろんいろいろな資料を見て、役を肉付けしていったそうだ。
「大隈重信さんは、面白いエピソードが多かったです。ちょっと天真爛漫なところがあったり、『民衆に愛された』というワードもよく目にしました。あまりにも立派な役柄すぎると、自分に務まるのか不安に思っていたのですが、そういう点があるのなら、自分でもアリなのかなと思いました」
特に印象に残った大隈のエピソードについて問われると、伊藤博文とのエピソードを挙げた。「大隈が伊藤と一緒に囲碁を打つ時、2人の打ち方が実に対照的だったと、何かで読みました。細かい記述は忘れましたが、大隈はおおざっぱな方だったようで。伊藤はじっくり考えてしっかりと手を進めていくけど、大隈はピンチになってから慌てて対処するとあって、そこに親近感を覚えました。悪口になってしまいそうで怖いのですが、ある意味、ざっくりしているところにシンパシーを感じました(笑)」
大隈が初登場したのは第27回。大倉は早速、インパクト大のキャラクターを打ち出した。フランスで西欧の金融制度を学んだ渋沢が、武士と商人が力を合わせて商いを営む「商法会所」を設立した回だったが、大隈は渋沢の功績を耳にし「フランスで4万両の利ば蓄えた!?」と目を見開き、声を上げるシーンが視聴者の笑いを誘った。さらに続く第28回では、強気な発言をする栄一に「さもありなん!」の3連発をお見舞いした。
同シーンについて大倉は「僕は現場で、いわゆるモニターチェックをしないというか、撮ったシーンのプレイバックを見たりしないタイプなんです。だから自分でどんなふうに映っていたのか気にとめてなかったのですが、モニターを見ている方たちの間では、笑いが起こっていました」と現場を振り返った。
大隈の口癖でもある「であ~る」も、大倉の口から出ると絶妙な笑いを生む。「それをどこまでやるかというのは、現場次第だなと思っていました。そしたら演出から『際立たせてほしい』と言われたので、探り探りやらせていただきました。でも、とにかく必死にやっていた感じです」