――撮影当時、お2人が忘れられない裏話には、どんなものがありますか。

杉浦:ドリフトのことかなあ(笑)。

市瀬:ああ、ドリフトかもしれないね。

杉浦:劇中で2人で「シェパード」という車に乗ることが多かったんですけど、後輩なので基本、僕が運転するんです。運転中に事件に遭遇することがあるので、そのときキキキキッって急停車するわけですよ。あるとき「そこにカメラがあるから、その手前でドリフトしながらシェパードを停めてね」って、スタッフさんが僕に言うんです。別に運転が得意とも言っていなかったのに。

市瀬:わははは!

杉浦:深く考えずに「わかりました!」って言って撮影に入ろうとしたら、ヒデくん(市瀬)が止めるんです。「タカやん(杉浦)! ドリフトやり方知ってる?」って。

市瀬:そりゃあ止めますよね。隣に乗ってる俺としたら怖いから(笑)。「やったことあるの?」「ないです! でもこうやってブーンって行けばできるんじゃないかな」「無理無理無理! サイドブレーキを引くのじゃ!」みたいなやりとりがあって。

杉浦:そうやって教えてもらい、一発本番でやったらOKが出た。「やりましたね~」なんて(笑)。

市瀬:俺はヒヤヒヤしてましたよ(笑)。ドリフトして止める前、1台カメラを横切るんだけど、それ踏んでもいけないし……。かなりのテクニックが必要な運転を、やったことのないタカやんに平気でやらせるっていう。

杉浦:通常ならカースタントの方にお願いするところですよね(笑)。でも顔がわかっちゃうからなあ。

市瀬:そのシーンをオンエアで観たんですけど、あまり俺たちの顔がわからなかった(笑)。

杉浦:このコンビでは、いろいろ印象深いできごとが多かったね。

市瀬:2人が私服で大学に潜入し、幽霊に出会う話(第23話「ルナ対ルナ」)があったでしょ。

杉浦:悪霊退散!ってやつ(笑)。私服で撮影したのが珍しかったので、よく覚えてます。

市瀬:この回は、俺にとって忘れられない……。大学でロケを行った日、大遅刻してしまったんです(苦笑)。これを戒めとして、あれ以来20年、現場に遅刻したことがありません。

杉浦:「タクシーぶっとばし事件」ですね(笑)。

市瀬:そうそう。あわててタクシーに乗ったんですけど、ロケ地の大学までがまた遠くて(笑)。あのころはまだナビもなかったから、電話で場所を確認しながら迷いに迷ってたどりついたんです。フブキとムサシがメインの回だったし、もうやりにくくて……。「すみません! 何でもやります!」って言いながら臨んでいました。

――『ウルトラマンサーガ』を監督された岡秀樹(おかひでき)さん(当時助監督)や『ウルトラマンタイガ』(2019年)のメイン監督・市野龍一さんは、最近のインタビューでも思い出深い作品として『コスモス』を挙げられるようです。当時のスタッフさんで強く印象に残っている方はいらっしゃいますか。

杉浦:『コスモス』の最後のほうで助監督をやっていた若手の田口清隆さんが、今では立派な監督になって「ニュージェネレーション」のウルトラマンシリーズで大活躍されているのが凄いなって思います。

市瀬:それは凄いね。すばらしい。

杉浦:数年ぶりにお会いしたとき、田口さんから「覚えてますか?」って言われて「もちろん覚えてるけど……出世したなあ」って(笑)。

市瀬:才能と情熱のある方は、どんどん成長していくんですよ。そういえば何年か前に、『コスモス』のスタッフ飲み会ってのがあって、僕スタッフじゃないんですけどなぜか呼ばれて行ったんです。よく特撮現場を見学してたから(笑)。そのとき久しぶりに、当時助監督だった武居正能さんと再会しました。そのとき思ったのは『コスモス』のころと比べて、ずっと体が大きくなったなと(笑)。そこで村石宏實監督が「今は立派な監督になった。これからはコイツの時代だからよ~!」ってうれしそうにしていて、武居さんがパシパシ叩かれていたのをよく覚えています。

杉浦:武居さん、『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(2018年)でメイン監督になりましたもんね。

市瀬:そんな光景を見たとき、スタッフの方たちも先輩から後輩へ、ウルトラマンの思いを託しているんだなって思ったんです。

――20年前から『ウルトラマンコスモス』ファンだった方や、後に映像ソフトや配信で観てファンになった方に向け、お2人からひとことメッセージをお願いします。

杉浦:改めてウルトラマンという存在は永遠なんだなあって実感しています。僕がおじいちゃんになっても「ウルトラマンコスモスを孫といっしょに観ています」と言われるんじゃないかって思いますし、それを背負う覚悟はできています。20周年はひとつの区切りとして、これから30年、40年と永遠に愛されてほしいです。これからも『コスモス』をみんなで愛していきましょう!

市瀬:当時子どもだった方が、今ではご自分の子どもといっしょに『ウルトラマンコスモス』や、今放送中の『ウルトラマントリガー』を楽しんでいると思います。これからもウルトラマンが続いていき、イベントも開催されていくことでしょう。そんなとき、フブキは変身しないんだけど「春風コンビ」として、ムサシにくっついて出てこようと考えています(笑)。おじいちゃんになっても春風コンビは永遠ってことで、よろしくお願いします(笑)。

――最後に、お2人がこれから出てきてほしいと考える「夢のウルトラマン」を教えてください。

市瀬:フブキが変身する『ウルトラマンフブキ』の登場を夢見ています。日本刀が武器で、悪い奴を斬っていくウルトラマン! 

杉浦:フブキみたいな髪型のウルトラマン、ぜひ見てみたいですね! 僕としては、最近ウルトラセブンの息子(ウルトラマンゼロ)やウルトラマンタロウの息子(ウルトラマンタイガ)が出てきているので、やっぱり「ウルトラマンコスモスの息子」がいいかな。

市瀬:それは俺も見たいなあ!!

杉浦:今ではウルトラウーマングリージョも活躍しているから、コスモスの「娘」でもいいな。コスモスがポーズを決めていると、横から「パパー!」って言いながらやってくるとか。かわいいだろうなあ(笑)。いつかきっと、ウルトラマンコスモス親子が地球を守るっていうエピソードが作られてほしいです!

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