2000年にピン芸人としてデビュー以来、筋肉芸人という新たなジャンルを切り開いてきたなかやまきんに君。現在は、お笑い芸人として活躍するかたわら、登録者数130万人を超えるYouTubeチャンネル「ザ・きんにくTV」や、ボディビルの大会に参加するなど、お笑いと筋肉を融合させた唯一無二の存在として活躍している。そんなきんに君が、21年という芸能生活を振り返った。
高校生のとき筋トレを始めたというきんに君。そのきっかけは「格好いい体になりたかったから」という単純な動機だったようだが、思い返せば、子どものころから人間の体や健康に関して興味があり、食べものの裏側に記載されている成分表などをチェックするような小学生だったという。
しかし、実際筋トレを始めると、その奥の深さに魅了されていった。「最初はただ筋肉を大きくしたいところからスタートしたのですが、筋肉の付き方を考えると解剖学の分野になるし、栄養のことも学ぶ必要がある。さらに睡眠や自律神経など……深く真剣に向き合うと、いろいろなものに通じていくんです」。
一方で吉本興業が主催するNSC大阪の22期生を卒業。お笑い芸人という大きな目標もあった。
「コンビを目指していたので、相方を探したのですが、なかなか合う人と巡り合えなかったんです。そんななか、タンクトップ着て筋肉があるっていうだけで、なにかと目立っていたので先輩のイベントに呼ばれたりして、そこで面白がってもらい、芸名を付けてもらったりしたんです」。
そんななか、テレビのオーディションがあり、芸名が必要になり、以前先輩に付けてもらった芸名を使うようになり“なかやまきんに君”が誕生した。しかし、当時はまだ「“筋肉芸人”として生き抜くんだ」という強い思いはなかったという。
「意を決して『これで行くんだ』という感じでもなかったです。もちろん筋トレは好きだし、筋肉が自分の持ち味だとは思っていましたが、『絶対これでやっていくんだ』という強い意志はなかったんです」。
それでもテレビ等への露出が増えると周囲から「きんに君」と声をかけられることが多くなり、自然と“芸風”に対する不安はなくなっていった。「筋トレは好きでやっていることだし、この芸風を辞めるという選択肢もない。そういう意味で『これでいいのだろうか』という不安はないですね」。
ブレずに続けてきたことで、唯一無二の存在として、強い個性を発揮しているが「もう安泰だな……なんて気持ちはいまでもまったくないですね。いつ受けなくなるか分からない世界ですからね。安心感はないです」と胸の内を明かす。