――試食に夢中になってるパネラーの皆さんにコメントを入れるタイミングも大事ですよね。
久本:そりゃそうですよ! やっぱり来てくださるゲストの方が楽しんでいただかなきゃ絶対番組は盛り上がらないので、トークが得意な人もいれば、なかなか苦手な方や緊張される方もいらっしゃるじゃないですか。そういうときは、こっちから自虐ネタで行ってみたりとか、「料理できるんですか?」「趣味は何なの?」とか違うことでツッコんでみたりして、食べてるときもいいリアクションしてたら「おいしそうだね!」とか「なんちゅう顔して食べるの!」とか、そういうことを言ってあげると、その人たちも楽しいってなるので、そこは私も田中くんも盛り上げてツッコんで「(西川)きよし、頑張れ!」みたいな感じでやってますよ(笑)
(一同笑い)
田中:きよし師匠の位置が、この番組はすごいですよね! お笑いの世界において、西川きよし師匠って言ったら、もう雲の上の人じゃないですか。
久本:神様ですよ!
田中:今でもそう思ってるんですよ? だから、こんな扱いを受けているっていうことが、信じられないですね(笑)
久本:本当ごめん、こんな扱いしてるの、私だから(笑)
田中:フジモン(藤本敏史)も結構きよし師匠をイジるから(笑)。それが一番衝撃的でしたね。
久本:でも、そこがきよし師匠のかわいいところなんだよね。年齢を経てきたら、イジられてナンボじゃないですか。「あの人なんか怖いな」とか「触れるとおかしな空気になるな」とか思われたら最悪ですよね。でも、きよし師匠はイジらせてくれるから、本当に偉大! 低姿勢で謙虚でいらっしゃって。さすが長いことこの芸能界にいるだけの器の人だと思います。帰りの新幹線で、「もっと言い方あったかなあ」って気にされることもあるそうなんですけど(笑)
■スタジオがもらい泣きした“お好み焼き”
――他に印象に残るパネラーの方は、どなたになりますか?
田中:杉村太蔵くんが北海道出身でたまに出るんですけど、毎週『サンジャポ』で会うんですよ。そうすると、「田中さん、今度『ケンミンSHOW』に出させていただくことになってありがたいんですけど、もうアンケートが厳しくて!」って結構泣き言を言われるんです(笑)。県の代表としてくるわけですから責任もあるだろうし、そんなに食べたことないものについてコメントしなきゃいけないこともあるじゃないですか。若くして東京に出てきてると、今は流行ってるかもしれないけど自分が学生の頃はなかったものだったり、そういうことでみんな苦労されて来てくれるんだなあって思いますね。
久本:そうかと思えば、自分がドンピシャのネタのときは、本当に生き生きとして、テンション上がって話が止まらないときもあって、そういう姿も素敵なんですよ。四方堂亘さんが、学生時代に食べていたお好み焼きが出てきて、VTRが終わって試食したんですけど、食べながら当時のことを思い出して泣いてたんですよ。あの頃、あの場所にいて、あれを食べたんだ…それを全国の皆さんに伝えている自分がいるという喜びで、スタジオのみんなももらい泣きしちゃうくらい。あれは本当に胸にキュンときちゃって、今も思い出してウルウルきますね。
――この番組ならではですよね。
久本:ならではです。だから、みんな自分が行ってた場所や、食べていた店が出てくると「うわー!」「そうそう!」ってなるから、それはいいよね。
田中:あれはすごい楽しいですよね。自分でもそうなるだろうなあって思いますし。
――北関東に象徴されるような対立構造もありながら、これだけいろんな地域の人が集まった番組なのにすごくアットホームな雰囲気がありますが、MCの立場からどのように感じていますか?
久本:変な言い方だけど、みんな“役割”を分かってるんですよ(笑)。あえてちょっとケンカふっかけてみるとか、自分が上から目線でしゃべるとか、その丁々発止をすることで番組が盛り上がりますからね。それぞれの県を背負いながら、デフォルメしてみたりとかするのは、そこはみんなプロですよ。自分が何のためにこのスタジオに来ているのかということに対して、素晴らしいプロフェッショナルの腕を見せてくれるので、助かりますよね。
田中:本当にそうですよね。
■裏番組に強力ドラマも…「こっちは失敗します(笑)」
――コロナの自粛ムードで県を越えての移動がなかなかできない中においての『ケンミンSHOW』の役割というのも、大きいですよね。
田中:旅行も行けない、帰省もできないという中で、ちょっとでもそういう気分になってくれる人たちは、大勢いらっしゃると思うんですよね。
久本:外に出られない時期に、この番組が元気の源になったり、一瞬でも嫌なことを忘れられたり、「あー懐かしいなあ」と思って実家に電話したりLINEしてみるきっかけになれば、それは本当にうれしいことですね。それが『ケンミンSHOW』のある意味真骨頂だと思います。コロナでも「今度あの店に行ってみよう」とか思うだけで楽しいじゃないですか。
――15年目突入という節目がこういうご時世と重なってしまいましたが、やはりそういう気持ちは盛り上げたいですよね。
久本:盛り上げたいですよ! だから、ドラマ見てる場合じゃないです。もうみんな失敗しないの分かってるんですから。こっちはいろんなことがあって、失敗もするわけですよ(笑)
(一同笑い)
田中:失敗だらけだからね(笑)
久本:だから、少しでも皆さんの心が元気になっていただければと思いますね。