『今日から俺は!!』の原作が発表されたのは1988年。30年前の昭和の不良コメディーに対し、当時の話を懐かしむ大人世代にしか見られないのでは、という声もあったが、放送してみると子供世代が全く知らないファンタジーの世界として楽しんでおり、結果として幅広い世代が親子で視聴してヒットにつながった。
この狙いは「後付けではなく、企画書にも明確に書いていました。やりながら確信を持っていったんですけど、それがバチッとハマったのが『今日俺』という作品でしたね」と目論見通りに。
現場視点での福田監督の特徴を聞いてみると、「一番最初の1テイク目の新鮮さをすごく大事にされる人です」とのこと。「笑いが絶えなくて、和気あいあいとしてる現場なんですけど、その1テイク目で役者さんの本領を発揮させようとする集中力、その意味でのピリつく空気というのが確かにあるんですよね。だから、良い緊張感とその緩和の中で撮影ができていて、そういう意味でやっぱり監督としても素晴らしいなと思いながら、一緒にやらせていただいています」と話した。
■福田監督に一番感じるのは「家族愛」
『左江内氏』『今日俺』と漫画原作の作品でタッグを組み、「ここまで来たらオリジナルをやりたいですね」ということで制作したのが、信頼するムロツヨシがゴールデン・プライム帯初主演を務めた『親バカ青春白書』(20年)だった。
「福田さんとお話していて、一番感じるのは家族愛です。奥さんや息子さんの話をいつも楽しそうにする福田さんの父性を、もっとドラマの中に盛り込んでほしい、と企画したのが『親バカ青春白書』でした。『親バカ』は、コロナ禍、スケジュール的に最初から全7話と短かったので、福田さんの家族愛は、また機会があれば掘りたいですね」
さらに、今後の福田監督との展望を聞くと、「笑いのためなら、どこまでも振り切る福田さんに、私は“戻ってこられる一本の芯”を真ん中に置きます。初めての仕事を終えた後、福田さんが息子さんに『俺の台本をあんなに面白く直してくれるプロデューサーは初めて』とおっしゃってくれたそうで、その言葉が今も私の活力になっています。福田さんのように、素敵な脚本家・演出家の方と、これからも面白いものを作っていきたいです」と、放送を控える『二月の勝者』(16日スタート、毎週土曜22:00~)への意欲を覗かせた。
●高明希
1984年生まれ、神奈川県出身。07年日テレ アックスオンに入社し、11年に『らんま1/2』でドラマプロデューサーデビュー。以降、『35歳の高校生』『スーパーサラリーマン左江内氏』『今日から俺は!!』『親バカ青春白書』などをプロデュースし、10月スタートの新土曜ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』では企画プロデューサーを務める。