くっきー!は現在、お笑いと絵描き、そしてバンド・ジェニーハイの一員として音楽活動も行う。いずれも商業レベルで継続し、その多才ぶりは目を見張るものがある。しかし本人は「どれかをこそぎ取って早く開放されたいです」と漏らす。「仕事の合間を縫って絵を描いたり、絵が終わったと思ったら今度は楽器の練習をしたり。地獄の日々ですね。寝不足とか栄養不足とか感じる瞬間もありますし、歩いていて女子みたいに立ちくらみする。かわいいでしょ?」
絵は仕事だと割り切る一方、「僕がちゃんとしたところで個展やったらおもろい」と意欲を示し、将来の構想を語る。
「何々国立画廊とか、由緒正しいところでやってみたいです。あとは神社とかお寺とか。寺やったら新仏(しんぼとけ)とか描きたいです。今描いているのがパラレルワールド的な作品なんですよ。地球の進化が変わったら、人間は実はこんな形になるんじゃないかとかいろいろ考えて描いてます。それの仏さんバージョンとか神様とか描いてみたいです」
こうした短時間の取材でも、個性的な発言がしばしば口から出てくる。独特な視点の源は、一体何なのか。
「例えば、僕にとって人間はストレス発散の“道具”です。お笑いで言うたら、舞台で僕が何かやったら、お客さんが笑ってくれる。それで、お客さんである人間が笑うから僕もうれしくなる。自分のストレスも発散されます」
どの活動でも一貫しているのは、お笑い芸人のスタンスを守ること。「絵を描くときも楽器やるときも、お笑い要素を絶対入れるようにしています。お笑いが背骨のように芯としてあって、絵や音楽はあばら骨です」と話す。
今後お笑いの分野でやりたいことを問うと、少し悩んでからこう話した。
「面白いもん、出尽くしてますよね。正直僕の芸風やネタは気持ち悪くて、王道のJ-POPとは言えない。むしろ、世間から見たら泥水。あるいは汚水っていう感じじゃないですか。ただ、その“気持ち悪い”がJ-POPになったらいいなとは考えます。ちなみに僕の泥水、たまにろ過されて美しい瞬間もありますけどね」
そう言って笑うくっきー!。この先も、唯一無二のくっきー!ワールドで世間の耳目を集めそうだ。
1976年3月12日生まれ、滋賀県出身。吉本興業東京本社所属。94年に地元の同級生でNSC大阪校の同期・ロッシーとお笑いコンビ・野性爆弾を結成。ネタ作りからコントの小道具まですべてを自身で手がける。クリエイターとしても多くの作品を発表しており、『野性昔ばなし』(竹書房)、『超くっきー図鑑 渡り鳥』、『口だけ紳士と6つの太陽 』(ヨシモトブックス)を発売。個展「超くっきーランド」は国内外で総来場者数50万人を記録した。バンド・ジェニーハイではベースを担当。『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)、『ラヴィット!』(TBS)にレギュラー出演中。