より高性能の編集機能が追加されたPowerDirector
PowerDirector 20は、サイバーリンクが提供する動画編集ソフトである。こちらは、ダウンロード版、パッケージ版(2021年10月22日発売予定)があり、PhotoDirector同様、サブスクリプション版(PowerDirector 365)がラインナップされる。こちらも詳しいラインナップや動作環境は、サイバーリンクのWebサイトを参照してほしい。こちらもWindows 11に正式対応している。
PhotoDirctor同様、サブスクリプション版のPowerDirector 365が、もっとも機能面で充実している。こちらも使用の程度などを考慮して、購入したい。
そして、注意が必要なのはハードウェア性能である。動画編集では最後にエンコード作業が必要となる。それなりの能力を持ったCPUが求められる。このあたりも考慮しておきたい。
PowerDirectorの新機能を紹介する。以下で紹介するのはサイバーリンクが提供するものである(サイバーリンクのWebページや動画サイトYouTubeでも視聴可能だ)。まずは、AI空の置き換えである。動画内の空を、好きな画像やあらかじめ用意されたテンプレートの空に置き換えことができる。
PhotoDirectorにも同じ新機能があるが、まさに動画版といってもよい。空の配置位置や境界線のぼかし、濃度を調整することもできる。PhotoDirector同様、AIがかなり正確に境界などを認識してくれる。デフォルトで、それなりのクオリティの置き換えを行ってくれる。今までにない効果を期待できるだろう。
次に、AI自動選択マスクである。AIが人、物、ペットといったメインオブジェクトを自動検出してマスクを作成する。
こちらもAIのおかげで、かなり正確に領域を選択する。この機能の活用は、動画中の効果演出や、サムネイル作成などに利用できるであろう。
次に、AIウィンドノイズ除去である。野外の撮影などで、風が強いときにどうしても風の音を拾ってしまう。その音をAIが自動的に除去するのである。
動画では、この処理を行った前後が比較できるようになっている。処理前は、かなり目立つ感じで風の音が含まれている。で、処理後であるが、風の音はほとんどない。一方、鳥の鳴き声などはしっかりと残っています。このあたりの処理は、なかなか興味深いものを感じる、まさにAIらしい仕事といえるだろう。
そして、AI音声強調である。背景のノイズを除去し、ボーカルやスピーチの音声をクリアに強調するものだ。
処理前には、「ギーギー」という雑音が含まれている。この雑音を除去し、スピーチをより明瞭にしてくれる。野外撮影で、駅やショッピングモールなどでは、どうしてもメインスピーチ以外の音を拾ってしまう。そんなときに、利用してみると効果的であろう。
もう1つ、ユーザーに評判の機能を紹介しておきたい。境界線(二重・三重)である。動画にタイトルを入れることはよくある。フォントやサイズ、色などの調整が可能であるが、境界線を追加できるようになった。実際に見たほうがわかりやすいだろう。タイトルデザイナーを起動する。
ここまでは、一般的であろう。左の[オブジェクト]タブから[境界線]にチェックを入れる。すると、白地のタイトルの周りに赤い淵(境界線)が追加される。
境界線ごとに太さ、カラー、グラデーションなどを調整できる。さらに「+」ボタンをクリックするとさらに境界線が追加される。
あとは、動画などにのせれば完成である。
同じような新機能に、タイトルグラデーションがある。タイトルにさまざまなグラデーションをかけることができる。境界線の追加と強化されたタイトルのグラデーションで、YouTubeやテレビ番組でよく使われているようなタイトルのデザインがかんたんにできるようになった。
最後にPowerDirector 365のみにあるプレミアム素材のダウンロードを紹介しよう。PhotoDirector同様、Getty Images/Shutterstockの高品位の素材を無料で利用できる。画像以外に動画や音楽データも利用できる。
音楽データは、Shutterstockでダウンロード可能である。
また、紹介しておきたいのが、サイバーリンク社による情報発信である。
- サイバーリンク公式ブログ (https://jp.cyberlink.com/blog)
- PowerDirecto 公式YouTube (https://www.youtube.com/user/japancyberlink)
- PowerDirector公式Twitter (https://twitter.com/PowerDirectorJP/)
- PhotoDirector公式Instagram (https://www.instagram.com/photodirectorjp/)
誌面の都合で詳しくは紹介できないが、有益な情報が多い。動画、画像作成の参考にするとよいであろう。
今回のバージョンアップにより、AIの技術を使うことで次世代のツールにふさわしいレベルに至った。商用利用可能なShutterstock、Getty Imagesの素材を使える点も非常に利便性が向上している。サイバーリンク社では、無料体験版も提供している。興味ある方は、ぜひ試してみていただきたい。