――会見では『仮面ライダークウガ』(2000年)をはじめとする平成仮面ライダーシリーズへの思いを語られていましたが、昭和の仮面ライダーにも強い思い入れがあるのですか。

僕の父がものすごい仮面ライダーマニアなんです。DVDやBlu-rayはもちろんのこと「仮面ライダー1号/本郷猛役・藤岡弘、さんのサインが入った限定写真パネル」とか、特注の「ショッカー首領時計」なども持っていて、そういう家で生まれ育ったものですから(笑)。おかげで僕もそうとう仮面ライダー全般には詳しくなりましたが、父には敵いません。部屋で『仮面ライダークウガ』を観ていたら、たまたま風呂から上がった父が「今の声は〇〇だな。じゃあ『クウガ』観てるのか」なんて、ゲスト出演者の声だけ聞いて作品名を当てるんですよ(笑)。

――濱尾さんのお話をうかがっていると、本当に仮面ライダーが好きで、ヒーローの戦いのドラマを愛していることが強く響いてきますね。

狩崎のテンションの上がり方は、僕が仮面ライダーについて話をしているときの気持ちを、そのまま使っているところがあります。普段の僕はそれほどテンションが高くなくて、ひとりで音楽を聴いていたりするタイプなので、そこから“豹変”していく狩崎の役作りについてはギャップがあるのですが、仮面ライダーを観て興奮するとか、仮面ライダーが好きという思いを感情で表すことに関しては、いつもの自分のように出せばいいので(笑)。根っこのところではとても演じやすい役なのだと、しみじみ感じています。

――撮影に入ってみて、さすがは仮面ライダーの現場だなあと感心したことってありますか。

それはもう、平成&令和仮面ライダーシリーズを作り続けてきたベテランスタッフのみなさんと出会えたことに尽きますね。僕はテレビやDVDなどでずっと仮面ライダーを観てきたファンですけれど、僕以上にそれぞれの作品を愛し、仕事に誇りを持っている方たちが集まっているんです。

ふと『仮面ライダーV3』の話題になったら、どなたかが「宮内洋さんが実際にバイクに乗りながら変身ポーズをしたときの話」をしてくださったり、合成用のアタリに使う「白玉」という道具を手にされた方が「『宇宙刑事ギャバン』(1982年)のころは、ギャバンの“反射”ぐあいを確かめるために、グレーと銀ラメを混ぜた玉を使ってたんだよ」なんて、激レアの裏話が飛び出してくる。またあるとき僕が「名もない花を踏みつけられない男に……」と口ずさんだら、どなたかが「おっ『ギャバン』(主題歌)だね!」なんてすぐわかってくださって、幸せな現場というほかないですね(笑)。

『仮面ライダーセイバー』と『仮面ライダーリバイス』との引き継ぎとなるエピソードを撮られた石田秀範監督は、あの『クウガ』の監督でしたし、大好きな『仮面ライダーアマゾンズ』(2016年)も手がけられています。そして『リバイス』の劇場版や第1話を撮られた柴崎貴行監督は石田組の助監督出身で、数々の『仮面ライダー』で活躍されている方ですから、お2人にお会いしたときはこの上なく興奮しました。

特に石田監督には、現場で叱咤激励をいただきまして、狩崎が自分でイメージしていたものから5倍くらいに肉付けされ、キャラがものすごく膨れ上がりました。そのおかげでハイテンションな狩崎のベースを早い段階から作り上げることができ、以後の演技がやりやすくなったと思います。狩崎の「冷静」な面は柴崎監督に、「ハイテンション」な面は石田監督に作っていただいた印象です。こんな具合なので、「仮面ライダー」の撮影現場は、どこに行って、何を話しても幸せなところです!!

――仮面ライダー愛の強い濱尾さんから、ジョージ・狩崎的な見どころを教えてください。

変身シーンには仮面ライダーファンとしては注目しないわけにはいかないでしょう! 1人の体から2人のライダーが出て来るという意味で、変わったビジュアルの変身です。リバイとバイスの姿は僕(狩崎)が作ったフォームという設定ですので、テレビをご覧になりながら「このライダーをジョージ・狩崎が作ったのか」と思ってくださればうれしいです。一輝が変身した直後、シナリオでは「狩崎、狂喜乱舞している」と書かれていて、それにならって思いっきりリアクションをしてみましたから、個人的にはその部分にも注目してほしいです。これからも『仮面ライダーリバイス』の活躍を、ご堪能していただければと思います!