• (左から)矢野了平氏、木月洋介氏、日高大介氏

日高:視聴者参加番組で言うと、『クイズ$ミリオネア』(フジテレビ)の解答者が芸能人になったのは、すごいモデルケースでしたよね。視聴者参加番組で始まったのが、1回芸能人大会をやって、その後すぐ変わりましたから。

矢野:でも意外に勘違いされてる方が多いんですけど、『クイズダービー』(TBS)にしろ、初期の『タイムショック』(テレビ朝日)にせよ、視聴者参加クイズではあったんですけど、昔から芸能人大会は結構やってたんですよね。タレントさんが出る回で勢いをつけるというのは昔から変わらないから、「タレントに頼るのはダメ」みたいなことは、全然ないと思うんですよ。

日高:『アタック25』でも、節目節目で芸能人大会やアナウンサー大会が企画されていましたもんね。

木月:視聴者参加かタレント参加というところは、システムの話ではないので、番組にとって一番大事な“背骨”のところとは関係ないんですよね。

矢野:いい意味でそこが混ざってるのが『99人の壁』だと思うんですよ。視聴者参加でもあるし、そこにタレントさんが来ても何かに特化してそのジャンルに愛がある人っていうことだから、そこに差はないんですよね。

日高:本当に芸能人の方でも詳しい趣味を持ってる方、いらっしゃいますもんね。

矢野:視聴者参加番組は、答えてる人が何者か分からなくて感情移入しにくいとか、キャラクターが描けないって批評されることが多いんですけど、それを言ったら『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ)で、「この人を知ってる視聴者いる!?」というツウ好みな大ベテランの芸人さんが出演されてますし(笑)。そこが根本ではないというのは、すごくあると思います。

■「視聴者参加クイズ番組」の灯を絶やしてはいけない

●『アタック25』最終回に出場した日高氏が収録後、その心境を語ってくれた――

日高:46年続いた長寿番組の最終回の場に立たせていただくということで、すごく光栄でした。それだけでほぼ満足だったんですが、やっぱりそこはクイズ番組ですので、手ぶらで参加しては申し訳ないということで、わずか2週間という期間ではあったのですが、謹んで猛勉強させていただきました。最後は歴代チャンピオンが集まる大会なので、真剣にやらないと、筆記面接や面接試験で落ちていった方たちに申し訳ないという思いもありましたので。

――改めて、感じたことはありましたか?

日高:「視聴者参加クイズ番組」の灯は絶やしちゃいけないなと思いました。こんなに濃密で楽しい非日常な2週間はなかったように思います。だから何かの形で、『アタック25』のような視聴者参加クイズ番組を今後我々が復活させて、皆さんに恩返ししていくということが、あるべき姿なんだろうなというのを、しみじみ感じている毎日です。

収録中は本当に「怖い」という気持ちがありました。間違っちゃいけないというのもあるし、これだけの番組の最終回に泥を塗っちゃいけないというプレッシャーもありましたし。そういう意味ではしんどかったですけど、今となってはそれがすべて「楽しかった」に変換されています。だから、1人でも多くの方に、このワクワクドキドキを感じてほしいですね。

  • 『アタック25』最終回のスタジオ=日高氏提供

次回予告…~クイズ作家編~<3> “どんでん返し”はご法度に…クイズ番組の歴史と変化

●矢野了平
1977年生まれ、埼玉県出身。高校時代からクイズ番組で活躍、東洋大学在学中からクイズ作家の仕事を手がけ、01年にプロの放送作家としてデビュー。現在の主な担当番組は『くりぃむクイズ ミラクル9』『マツコ有吉かりそめ天国』『有吉クイズ』(テレビ朝日)、『水曜日のダウンタウン』『オオカミ少年』『オールスター感謝祭』『クイズ☆正解は一年後』『佐藤健&千鳥ノブよ!この謎を解いてみろ』(TBS)、『潜在能力テスト』『今夜はナゾトレ』『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』(フジテレビ)、『天才てれびくんhello』(NHK)など。

●日高大介
1977年宮崎県生まれ、静岡県育ち。高校時代からクイズ番組で活躍し、慶應義塾大学在学中からクイズ作家の仕事を手がける。06年に『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ)でプロの放送作家として活動を開始する一方、『お願い!ランキング』『キス濱テレビ』『真夜中のプリンス』(テレビ朝日)、『笑っていいとも!』(フジテレビ)、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ)、『勇者ああああ』(テレビ東京)などに出演。現在の主な担当番組は『全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ)、『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日)、『超逆境クイズバトル!!99人の壁』(フジテレビ)など。

●木月洋介
1979年生まれ、神奈川県出身。東京大学卒業後、04年にフジテレビジョン入社。『笑っていいとも!』『ピカルの定理』『ヨルタモリ』などを経て、現在は『新しいカギ』『痛快TV スカッとジャパン』『キスマイ超BUSAIKU!?』『ネタパレ』『久保みねヒャダこじらせナイト』『出川と爆問田中と岡村のスモール3』『千鳥の対決旅』『人間性暴露ゲーム 輪舞曲~RONDO~』などを手がける。クイズ番組は、現在放送中の『今夜はナゾトレ』のほか、『タモリのジャポニカロゴス』『全国一斉!日本人テスト』『優しい人なら解ける クイズやさしいね』などを担当。