充実した10年。あっという間だった10年。笑顔で語るきゃりーだが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国ツアーが中止、出演予定だった米カリフォルニアの野外音楽イベント「コーチェラ・フェスティバル」など海外公演も次々に延期・中止に追い込まれた。
「2020年はとにかく世界で頑張るぞとめちゃくちゃ気合を入れて頑張っていました。デビュー9年目にして、ここでまた世界と勝負だと意気込んでいたんです。でも、残念なことになくなってしまって、とても絶望しました。人生おしまいだって……。デビュー10年の実感がないのは、コロナ禍でほぼほぼ1年活動ができていないからで、実質9年という感覚です」
歌手として最も輝ける場所はステージだ。自分の居場所、発信する場所を失くしたきゃりーは「ファンの方がいなくなったらどうしよう」と焦りを感じるように。「抱えている不安を自分で消化しなきゃいけなくなって、コロナ禍で円形脱毛症になってしまいました。10円くらいの大きさでしたね。気がつくとまた髪の毛は生えてくるので、最初は気にしてはいなかったのですが、どんどん感染者数が増えてライブができない現実を突きつけられ、もう1つ円形脱毛症ができちゃって…。ふさぎこんじゃいました」と意気消沈した。
そんな中、支えになったのはプライベートでも仲がいいPerfumeのあ~ちゃん。「誰かに弱音をぶつけられる性格ではない」と話すきゃりーが思いの丈を打ち明けると、こんな言葉が返ってきた。「きゃりーだけじゃなくって、日本中、世界中の人の時計が止まっている。だからそんなに焦らなくて大丈夫だよ。みんなそうなんだから」
「優しい言葉をかけてくれて、さすがだなって。あ~ちゃん、すごく優しいんです。その言葉はいつも思い出しています。フェスもめっちゃ中止になっているのですが、でも『みんなの時計が止まっているだけ、私だけじゃないんだ』と心の中で反芻すると、円形脱毛症から遠ざかります(笑)」
デビュー記念日の8月17日には中田ヤスタカ氏プロデュースの新曲「原点回避」をデジタルリリース。原点回帰しながらも前に突き進んでいくという決意が込められている。年明けの2022年1月からは2018年以来3年ぶりとなる自身最大規模の全国ツアーをスタートさせる。
「私の人生のテーマは『夢みたいなことを現実で表現する』。コロナで何か我慢していたり、不安に思っている人の前でライブがあった1日は『めちゃくちゃ楽しかった』『ここまで頑張ってきたよかった』と思えるパフォーマンスがしたいですね。この日だけは幸せだった、そう思ってもらいたい」と意気込んでいる。
デビュー10年経っても勝負の姿勢は変わらない。今年6月にスタートしたオリジナル番組『dTV Presents KPPとBose みんなの放課後』ではレギュラー生配信のMCに初挑戦している。「すごくアットホームな雰囲気な番組です。何か聞かれたときにパッと答えるような、歌手のお仕事であまり意識しない瞬発力を大事にしていますね」
プライベートでの目標を聞くと、「かつての私だと30歳で結婚して出産するのが理想でした。今28歳なのであと2年ですね。でも、私にはまだやりたいことがある。一通り色んなことをやってから『今だ!』と思うときに結婚したい。やってみたい表現や行ってみたい国があるので、結婚の前にまずは体験していきたい。ツアーもありますし、まずは健康第一で過ごせたら」
1993年1月29日生まれ、東京都出身。中田ヤスタカ氏(CAPSULE)のプロデュースのもと、2011年8月17日にミニアルバム『もしもし原宿』でメジャーデビュー。コンスタントに楽曲をリリースし、国内外でツアーも行う。クールジャパンのアイコンとしても知られるようになり、「Kawaii」文化を発信している。10周年となる2021年にプライベートレーベル「KRK LAB」を立ち上げ、記念日の8月17日に「原点回避」をデジタルリリース。2022年1月16日より約3年ぶりとなる全国ツアー「きゃりーぱみゅぱみゅ 10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022」をスタートさせる。