自然体でVTRが見られる要因として、ヒロミは「レポーターにタレントが出てこないというのもあるかもしれないね」と挙げる。「タレントが出てると『こいつしょうがねぇボケしやがって』とか、いろんなところをツッコまなきゃいけないって考えちゃうから。そういう余計なものがないからいいんだろうな」といい、小峠は「本当にそうですよね。たしかにそうだなあ」と納得していた。
小峠が「この番組だと、ヤバいときはちょっと腹痛いくらい笑いますもんね。『もうほんとに勘弁してくれよ!』っていうくらい、どんどん(強烈なVTRが)来るときありますから」、ヒロミが「俺たちもプロだから、VTRではそう本気で笑うことはないんだけど、この番組はしょうがないよな」と言うように、2人のリアクションや爆笑が、他の番組に比べて格段に大きいのは、そうした演者にとってストレスのないシステムが背景にあったのだ。
ただ、1回目の収録後、ヒロミは「小峠に『俺は面白かったけど、大丈夫か? この番組』って聞いたもんな(笑)。小峠は『面白いです』って言ってたけど、OAされるまでは大丈夫かな…って思ってたから」と、あまりに斬新な番組に不安を覚えていたそう。
一方で、「僕、自分の番組をあんまり『ちょっと見てよ』って言わないんですけど、この番組に関しては1回目の放送の前に、ノリちゃん(木梨憲武)に『これ、すごいびっくりした。今まで俺がやってきた番組の中でもすごいから、ちょっと見てほしい』って言ったもんね」と自信もあった。
その結果、「ノリちゃんも『すげえな! 何なの!?』って驚いてましたし、他にもいろんなところで会う芸能人の人が『“オモウマい店”すごいですね。スタジオで見たいです』って言ってくれますよ」と周囲の反響は大きいそうで、小峠も「いろいろ番組に出させてもらってますけど、この番組は周りの人に『面白いですね』『見てます』ってやっぱり一番言われますね」と明かした。
■キー局がやろうとしてもできない
VTRに出ている側も、それを見る側も自然体であることが、番組の魅力につながっている『オモウマい店』。ヒロミは「僕が育ったテレビはバブルのときですから、テレビの箱の中には夢があって、違う世界を映し出しているものだったんですよ。だから制作費もいっぱいあって、やってることもめちゃくちゃだったんだけど、それから30年経つとこういうのになって、皆さんに見ていただいてるんだな」としみじみ。
ただ、「これが主流になるとは思わない(笑)。この番組は特殊だから、キー局とかがやろうとしても、できないと思うんだよね。お店を紹介するときに、スタッフだけでレポートさせる勇気はないと思う。やっぱりロケタレント出動させると思いますよ」と、中京テレビ独自の制作スタイルであることを強調していた。